2019年度活動レポート(一般公募コース)第066号
冷温帯に生育するナラ属樹木の起源と進化に関する日中共同研究
森林研究・整備機構 森林総合研究所からの報告
2019年度のさくらサイエンスプログラム(共同研究活動コース)により中国北京市の北京林業大学から、修士課程の大学院生(1名)と引率教員(1名)の計2名を8月21日から9月10日まで(21日間)招へいし、森林総合研究所(つくば市)で受入れました。当所と北京林業大学とはMOU(Memorandum of Understanding)を締結し協力体制を築いてきました。この交流プログラムでは、日本と中国に共通して生育するナラ属の樹木を対象に、ナラ属樹木の起源や進化について共同研究を行うことを目的としました。主な日程は3部で構成し、前半は、つくばでの研究交流セミナーや打ち合わせ、中間で北海道に移動し支所・育種場訪問、研究セミナーおよび野外調査、後半は再びつくばに戻り、データ解析を行いました。
前半(1日目~5日目)
羽田空港から入国し、森林総合研究所(つくば市)に到着しました。オリエンテーションの一環で当所の研究を紹介する最新のDVD(英語版)を視聴してもらいました。2日目に、研究担当理事を表敬訪問しました。研究セミナーでは、招へい者と当所の研究職員が最近の研究を報告しました。日本語、英語、中国語が入り乱れた活発な議論が行われ、懇親会まで続きました。
中間(6日目~10日目)
6日目には、北海道へ空路で移動してプログラムを実施しました。まず北海道支所を訪問し、打ち合わせを行いました。
7日目には林木育種センター北海道育種場を訪問し、ナラ属樹木の交配家系や全道から収集された多様な系統が植栽された圃場を見学しました。午後は北海道支所に戻り、場内施設および研究材料(ナラ属樹木の交配家系)の見学を行った後、招へい者と北海道支所の研究職員が関連する研究をセミナーで報告しました。
8日目と9日目は石狩市の海岸林で野外調査を行いました。自生地で初めて目にする日本のナラ属樹木に興味がつきないようでした。野外では安全確保に気を使いましたが10日目に無事につくばに戻りました。
後半(11日目~21日目)
週末をはさみ13日目から本格的なデータ解析を行いました。まず前週に北海道で採取した葉の形をスキャナで画像データに変換した後、画像解析ソフトウェアを用いて葉の形態を解析しました。研究室で保有している標本についても画像データに変換し、合わせて解析を行いました。最後に招へい者からの成果報告が行われ、研究担当理事から修了証が授与されました。今後は遺伝子のデータも加えて、共同研究を継続していく予定です。
最後に、有意義な共同研究の機会を与えていただいたことを、さくらサイエンスプログラムの関係者の皆さまに感謝いたします。また、様々なご支援を森林総合研究所関係者の皆さまからいただき、今回の活動を無事に終えることができました。ありがとうございました。