2019年度 活動レポート 第65号:北九州市立大学

2019年度活動レポート(一般公募コース)第065号

ベトナムHUS大学生・ベトナムVAST研究員の先制医療工学に関する科学技術研修

北九州市立大学国際環境工学部
木原 隆典さんからの報告

2019年9月7日(土)から9月14日(土)までの日程で、ベトナム国家大学ハノイ校ハノイ科学大学(HUS)生物学部の大学生4名、ベトナム科学技術院(VAST)化学研究所研究員1名、引率教員1名の合計6名を北九州市立大学国際環境工学部に迎えました。北九州市立大学国際環境工学部では、先制医療工学の実現に向けて細胞工学・高分子化学を中心とした先制医療工学研究センターを設置しています。本事業ではベトナムでの先制医療工学研究の定着を目指して、先制医療工学研究センターで実施している天然成分による抗腫瘍薬剤の開発に関する科学技術研修を行いました。

初日

福岡空港到着後、九州国立博物館を見学し、北九州市立大学に到着しました。到着後、本技術研修の日程説明と我々の先制医療工学技術開発の取り組みについて説明を行いました。

福岡空港に到着

2日目

日本での研究生活・留学生活に関して留学生TAより研修をしてもらい、その後北九州市立いのちのたび博物館を見学しました。

3日目から6日目

動物細胞を用いた培養実習、各種顕微鏡を用いた細胞観察実習、高分子複合体作製実習を行いました。ベトナムでは細胞培養の設備が十分に整っておらず、HUSやVASTの学生・研究員といえども、動物細胞を日本の清浄度のレベルで扱うのは初めてとなります。そこで、ヒトのガン細胞と線維芽細胞を実際に培養することで、両細胞の特徴や違い、また共培養した際の挙動などについて実習を行いました。さらに、自分たちで培養した細胞を固定し、共焦点レーザー顕微鏡で細胞内分子の観察、走査型電子顕微鏡で細胞形態や細胞表面構造の観察を行いました。共焦点レーザー顕微鏡も走査型電子顕微鏡も初めて使うため、とても興味深く細胞を観察していました。

細胞培養実験の様子
細胞の電子顕微鏡観察の様子

高分子複合体作製実習では、実際に高分子とDNAの複合体を作製し、その解析を行いました。高分子とDNAの特異的な相互作用を利用することで、薬剤開発などに応用できることを学びました。

高分子実験の様子

7日目

今回の実習の成果の発表と研究交流セミナーを行いました。今回の実習で自分たちが何を学んだのかについて発表するとともに、自分たちのベトナムでの研究内容についての発表をしてもらいました。また北九州市立大学の教員と学生も研究内容について発表を行い、共同研究などについてディスカッションを行いました。夜には関係者全員で交流会を行いました。ベトナムの学生・研究員は皆勉強熱心であるため、和気あいあいとした雰囲気で交流できました。参加者全員が留学などでまた日本に来たいと言ってくれたことを何より嬉しく思いました。

セミナー終了後の集合写真

最後に、本技術研修を支援してくださったJSTさくらサイエンスプログラム、ならびに本技術研修にご協力いただいた教員・学生・事務の皆様に感謝申し上げます。