2019年度活動レポート(一般公募コース)第055号 (Aコース)
京都工芸繊維大学 電子工学サマースクール:プラズマナノテクノロジーセミナー2019
Kyoto Institute of Technology Electronics Summer School & Plasma Nanotechnology Seminar 2019
京都工芸繊維大学電気電子工学系
准教授 高橋 和生さんからの報告
令和元年6月17日より28日までの間、アル−ファラビ・カザフ国立大学(KazNU)から、「さくらサイエンスプログラム」の支援を受けた学生6名を含む7名が来日し、京都工芸繊維大学で電子工学およびプラズマナノテクノロジーの関連するプロジェクト型プログラムに参加しました。この制度によるカザフスタンからの招へいは3年目となり、年々、KazNU内でこのプログラムが浸透し、参加希望者が増加しています。KazNUにおいて、学生の興味を惹き高い満足度が得られ、また将来日本との人材交流を進めるための良いきっかけになるものとして、非常に高い評価を得ているためです。
今年度は、求められるシステムを電子回路およびプログラミングにより具現化するスキルと、最先端半導体デバイスプロセスの重要な要素であるプラズマナノテクノロジーの研究を行う機会がKazNUの学生に提供されました。物理など電子工学ではない学問領域を専門とする学生も、電子回路やプログラミングを駆使する作業に興味を持ち、積極的に参加していました。
また、カザフスタンでは他国同様ナノテクノロジーが注目されており、研究所が政府によってKazNUに設置されています。プラズマナノテクノロジーセミナーは、KazNUからの要望に応じて企画されたもので、フランスよりLaifa Boufendi教授を招き、プラズマの基礎と応用技術に関する講義を実施しました。特に、新規材料としてのナノカーボンやナノシリコンを作製することを目的としたプラズマプロセスに対して質問が集中しました。国家の政策を意識した質問で、健康やエネルギーに関連する材料およびそのプラズマプロセスへの関心の高さがうかがわれました。
招へい期間中には、カザフスタンという国およびKazNUについて本学の日本人・外国人留学生に対して紹介したり、6月22日には南丹市の園部高校を訪問し、高校生と交流する機会も設けられました。日本語、英語、カザフ語を交えて会話したり、日本のゲームを通じて相互の文化理解が促進されました。
参加した園部高校の生徒からは、「異なる文化の話をすると共に、共通の話題で盛り上がり、それぞれの趣味を話したりなどとても有意義な時間を過ごしました。」「日本語、英語以外に何か話せたら、相手も自分ももっと会話を楽しめるのかなあと思った。」「私はカザフスタンの学生から『あなたの夢は?』と聞かれたのが印象的でした。正直、具体的に決めていませんでした。伝えるための手段は必要ですが、それ以上に伝える内容、意見をもつことが最も大切だと気付きました。」といった声が聞かれ、普段あまり知る機会のないカザフスタンという国やカザフ語という言語への関心が喚起され、視野を広げるきっかけとなったことがうかがえました。
招へい期間の後半は、フランス、中国、タイ、日本の学生らとともに3~4ヶ国のメンバーからなる10チームが編成され、チームごとに、"Make something"をテーマに電子回路とコンピュータ、プログラミングを駆使して、国際色豊かなアイデアに富む様々な電子機器システムを作り上げました。研究活動を含めた互いの将来的な共働についても話し合うなど、活発なコミュニケーションが取られ、多角的な国際理解が促進されました。