2019年度活動レポート(一般公募コース)第049号
サステイナブルマテリアル分野における日印学術交流プログラム
北陸先端科学技術大学院大学からの報告
北陸先端科学技術大学院大学では2019年8月16日から8月25日の日程で、南インドの主要大学の一つであるSSSIHL(サティヤサイ大学)からサステイナブルマテリアル分野の学生8名、教員2名を受け入れ学術交流を行いました。オリエンテーションを行った後、本学の浅野哲夫学長と面談し記念撮影を行いました。
今回の訪問メンバーはSSSIHLのアナンタプルキャンパス、プッタパルティキャンパス、ブリンダヴァンキャンパスの各キャンパスからサステイナブルマテリアル分野に関連する様々な専門(化学・物理・バイオ)を有する学生・教員が選ばれ構成されました。全員が初めての外国旅行であったようですが長旅の疲れもなく、研修・研究活動が始まりました。
メンバーは松見研究室で4名が電池、電気化学触媒、イオンセンシングの実験を行い、長尾研究室では1名が計算科学の実習を行いました。金子研究室では1名が高分子合成化学、大木研究室では2名が核磁気共鳴スペクトル、高木研究室では1名が人工膜に関する実験、松村研究室では1名が生体機能高分子の機能評価に関する実験を行いました。
松見研究室ではチャンドゥリカさんが持参した植物由来化合物を電池材料用に化学修飾し、充放電測定を試みました。また、サイプラサード君、ランジャン君が持参した無機材料に関して酸素還元反応や水分解反応への電気化学触媒活性を評価しつつ測定法を学びました。さらにアンジャナさんが持参した無機材料は優れたフッ化物イオンセンシング能を有することが分かり、今後の継続的な共同研究に発展しそうです。
大木研究室では、スワヤム君の持参したサンプルを高解像度の核磁気共鳴スペクトルにより構造解析することができ、かねてよりスワヤム君が準備中であった論文に重要なパートを加えることができる見込みとなり共著論文の投稿を進める方向となりました。
8/22には山口拓実准教授が分子動力学シミュレーションに関する講義を行いましたが、各参加メンバーの関心が高く、実り多いセッションとなりました。その後、本学のナノマテリアルテクノロジー研究センターを見学しました。
昨年のさくらサイエンスで同大学から来日し、それをきっかけに現在本学で博士研究員を務めているクリシュナプラサード博士をはじめ本学の多くのインド人学生・研究員・教員と交流することができました。日本との文化的相違や日本での生活環境など今後の日本との関わりにおいて有用な多くの情報を得たようでした。
SSSIHLでは近年インド政府の支援により5階建ての研究機器センター「クリフ」が開設され研究環境が著しく向上しつつあるようですが、新たに導入された機器の測定ノウハウの蓄積が少ない状況でした。本インターンシップでの測定技術の習得への期待が高く、訪問メンバーの高い熱意のもとで必要な点に手が行き届いた研修となりました。今後も有益な交流活動が継続するよう双方が期待しています。