2019年度 活動レポート 第45号:千葉大学

2019年度活動レポート(一般公募コース)第045号

和食とタイ伝統食に関する最新の研究を相互に学ぶ互換プログラム

千葉大学大学院園芸学研究科(生物資源科学コース)
准教授 小川 幸春さんからの報告

2019年7月1日から12日まで共同研究活動コースのプログラムとして、タイ・メーファールアン大学農工学部の学部4年生10名を受け入れて実験や講義、そして日本の伝統文化についてのフィールドワークなど、様々な活動を実施しました。

初日の7月1日(月)早朝、成田空港に到着した一行は、鉄道を乗り継いで千葉県松戸市の園芸学部キャンパスに向かいました。

成田空港駅のホームで列車を待っている間の一コマ

松戸キャンパスに到着してすぐにプログラム全体のオリエンテーションを行い、日本に滞在している間の主な注意事項から研究室で実験する際の細かなルールまで一通り説明しました。その後、滞在先のホテルにチェックインしてしばし休憩ののち、受入れ機関側実施担当者の研究室に所属する学生達が準備してくれた学内での歓迎会に参加しました。コンビニエンスストアの弁当や回転寿司店・ファミリーレストランで購入したオードブルをはじめ、手作りのたこ焼き、様々な飲み物など日本の一般的な学生が経験しているであろう日々の食生活に沿った食べ物を提供してくれたため、初日からお互いの身の丈に合った交流ができました。

1日目の歓迎会の一コマ

2日目および3日目はそれぞれ日本およびタイの伝統文化と食に関する講義を開催し、日本・タイ両国の伝統的食やその源流などについて双方の理解がより進むように努めました。4日目からは食品の微細構造観察および物性評価に関する実際の実験に参加することで、今回のプログラムの目的である最新の食品研究に触れる機会を提供しました。実験は受入れ機関の研究室に所属する大学院博士後期課程の学生がTAとして補佐してくれました。5日目は日本の食品産業についての講義の後、日本企業における実際の研究開発を学ぶため、山崎製パン中央研究所を訪問しました。関連分野における国内でも選りすぐりの設備を有する研究所の見学は参加者全員にとって非常に有意義なものでした。見学に対応いただいた山崎製パン中央研究所の皆様には、この場を借りて厚く御礼申し上げます。

5日目見学後のディスカッション

6日目は日本文化を実地で学ぶため東京国立博物館を見学したのち、フィールドワークとして上野近辺のレストランなどで一般的な日本食を体験しました。7日目は受入れ機関の日本人学生とともに東京の下町や新宿などの日本食レストランを散策してさらなる交流を深めました。8日目から9日目にかけては食品の消化性を評価するための実験に参加し、食品に対する最新の研究にも触れました。

8日目の食品の消化性評価に関する実験の一コマ

10日目は今回のプログラムでの成果を発表する機会として、日本人学生も含めた報告会を開催しました。今回のプログラムで経験し、学んだことをとてもうまくまとめて発表してくれました。

10日目の成果報告会の一コマ

11日目は東京ビッグサイトで開催されていた国際食品工業展に参加しました。一日中回ってもまだ時間が足りないほど多くの企業や団体の出展があり、学生それぞれの関心に応じた学びの機会となったようです。12日目は朝早くにホテルをチェックアウトして成田空港発の便で帰国の途につきました。

本プログラムでは、共同研究活動コースとして受入れ機関実施主担当者の研究室で招へい学生達に実験を体験させましたが、様々な場面で盛んに質問が飛び交うなど、非常に活発な学びの場となりました。今回のプログラムへの参加者は研究に対して極めて高い意欲のある学生であったので、タイトな日程であったにもかかわらずすべての日程で満足を得ていたようです。本プログラムに参加することで多くの学生が千葉大学にもう一度来たいとの希望をもってました。今後の進展にもよりますが、今回のプログラムは招へい側はもとより受入れ側にとってもとても有意義であったと考えます。