2019年度活動レポート(一般公募コース)第040号 (Aコース)
東アジア高校生環境フォーラム2019
大阪府立高津高等学校からの報告
2019年7月26日より29日まで、さくらサイエンスプログラムの支援を受け、「東アジア高校生環境フォーラム」を開催しました。
この事業は、東アジア地域の高校生が河川の調査を中心とする一連の研究活動を通じて生態系に対する理解を深めると共に、さまざまな学習と交流の中でお互いに対する理解と友情を深めることを目的とする事業です。韓国より全北化学高等学校、イリ高等学校、イリ女子高等学校、全州女子高等学校、台湾より台南第一高級中学、台南女子高級中学、日本では本校および追手門学園大手前高等学校、大阪府立住吉高等学校が参加しました。
7月26日
本校のクリエイトラボおいて歓迎会を実施しました。海外(韓国、台湾)からの参加者15名はいくぶん緊張した面持ちでしたが、同じ調査を行うチームのメンバーたちと初めて出会い、お互いにすぐに親しい友人になることができ、またお互いの文化披露を含めた交流ができました。
7月27日
今回の環境フォーラムのメインの行事ともいえる、大阪の淀川の合同調査の日でした。台風が接近していましたが、勢力が弱まり、安全に調査できる見通しが立ったので、バスで移動して予定通り淀川流域の3ヶ所で水質、底生動物、魚類の3領域の調査を行いました。
水質班は、淀川を構成する3つの河川(宇治川、木津川、桂川)の合流地点(八幡市、御幸橋付近)で、この3つの河川の水質を比較しました。底生動物班は、淀川の支流の一つである芥川で、底生動物を調べ、この種類数を指標として河川の汚染の程度を調べました。また、魚類班は、下流の淀川河川公園付近の「赤川わんど」において、魚類を捕獲し、外来種、固有種の種類と数を調べました。雨や風がまだ残る中での調査で、たいへんハードな条件下でしたが、参加者の強い意欲と情熱で必要な調査をすべて行うことができました。
7月28日
本校において、英語ポスターの作成とポスターセッションを行いました。講師の指導の下で、お互いに英語でコミュニケーションをとりながら、各グループで一つのポスターを作りました。言語や文化の異なる生徒どうしが、環境の理解をめぐってこのように本格的に議論するのはほとんどの参加者にとって初めての体験でしたが、英語をベースに、簡単な中国語、韓国語、日本語を交えながら活発なやり取りを行って、会場は大いに盛り上がりました。製作したポスターは、参加者の創意や工夫にあふれた優れたものが多く見られました。
7月29日
大阪の自然環境を調査研究している大阪府環境農林水産総合研究所生物多様性センターで、淀川とその生物多様性に関する講義を受講しました。研究者の方から有機物による水汚染のしくみや、生物多様性が生物どうしの密接な関係によって維持されているということなど、普段知らなかった一歩深いお話を聞くことができました。この講演は各国語による通訳を準備し、外国の参加者からも多数の質問が出されました。
4日間という短い時間でしたが、異なる地域の高校生が環境の理解という一つの目的に向かって全力で取り組めたことは、未来への希望を感じさせてくれるものでした。今回の経験が参加者の成長の糧となって、地球環境の保全という大きな問題に将来力を合わせて取り組んでくれることを強く確信しました。