2019年度 活動レポート 第35号:富山大学

2019年度活動レポート(一般公募コース)第035号

タイ若手研究者が伝統薬学研究を学ぶ体験型インターンシップ

富山大学和漢医薬学総合研究所
早川 芳弘さんからの報告

富山大学和漢医薬学総合研究所では、2019年6月20日から6月26日まで、タイ王国のウボンラーチャタニ大学薬学部から10名の学生と教員2名を招へいし、両国で共通する伝統薬学領域での研究について体験型インターンシップを開催しました。和漢医薬学総合研究所ではウボンラーチャタニ大学薬学部と部局間交流協定を締結し、学生や若手研究者の交流を進めており、今回はさくらサイエンスプログラムによって短期インターンシップを実施することができました。

本活動の目的は富山大学和漢医薬学総合研究所における講義や伝統薬学研究の体験、さらには文化交流を通して、若い優れたタイの学生の研究心を発芽させ、また、先端的研究手法や専門的知識・技術を要する課題について体験実習を行うことで、若手研究者の育成につなげるとともに、本学を含めた日本での長期インターンシップや留学への第一歩となることを期待するものです。

 

今回のインターンシップでは主に以下の3点について活動を行いました。

① 生薬資源開発、日本における伝統薬による医療に関する講義

富山大学和漢医薬学総合研究所で取り組んでいる、生薬資源開発に関する現状に関しての講義に加えて、研究所附属の民族薬物資料館と薬学部附属薬用植物園での実地研修を行いました。また日本における伝統薬を用いた医療として、漢方診断学に関する講義、ならびに大学附属病院薬剤部での和漢薬調剤に関しての講義と実地研修を行いました。

附属病院薬剤部での研修

② 研究インターンシップ

富山大学和漢医薬学総合研究所内の各研究室で2日間にわたり研究インターンシップを実施しました。天然物からの薬効成分の単離に関わる天然物化学に関する研究から、細胞レベルでの病態薬理的な研究までの幅広い研究課題について、各学生が希望をした研究室に配属しました。

研究室でのインターンシップ

③ 富山県医薬品産業と歴史・文化体験研修

サイエンスに関する交流に加えて、富山県で盛んな伝統薬をベースにした医薬品産業に関する視察、さらに歴史・文化体験研修として世界遺産に登録されている五箇山の合掌造り集落の見学や和紙づくり体験などを行いました。富山県の医薬品産業については、(株)廣貫堂の資料館を見学し、現在の富山県における薬業へとつながる歴史について研修しました。また五箇山の合掌造り集落では、日本の伝統的な生活様式や、和紙作りの体験を通して我が国の文化や歴史について研修しました。

五箇山での和紙づくり体験

修了式では、富山大学和漢医薬学総合研究所の大学院生やスタッフが参加して研修の成果について改めて振り返り、またウボンラーチャタニ大学の学生からはタイ文化の紹介として伝統舞踊の披露がありました。

修了式でのタイ伝統舞踊の披露

これらの活動を通じて、招へいしたタイの若手研究者のみならず、和漢医薬学総合研究所の日本人学生や、各国から集まる留学生にとって大変良い刺激となり、今後の交流が活発になることが期待できるような成果が生まれました。この様な貴重な機会を作ることができたのも、本さくらサイエンスプログラムの支援があったからであり、最後に改めて感謝したいと思います。