2019年度 活動レポート 第33号:国際善隣協会

2019年度活動レポート(一般公募コース)第033号

中国の若者が日本の農業と食品についての先端技術を学ぶ

国際善隣協会からの報告

令和元年6月9日~15日の7日間、中国・山東理工大学(農業工程学院3名、食品科学学院6名引率者1名)からの訪日団を受け入れ、科学技術交流プログラムを実施しました。

山東理工大学は、山東省第三の都会であり古都である淄博に設立され、創立63年の歴史を有し、現在は33000人の本科学生、研究生2600人、科目は今回訪日した農業工程及び食品科学学院を含め21学院を傘下に持ちます。学士、修士、博士課程を備える同大学として平成27年度に続き、第2回目の訪日となりました。

羽田空港到着時の合同写真

農業工程学院からの学生は、農業機械を重点に東京農工大学、筑波の株式会社クボタのトラクター工場を訪問しました。前者では日本農業の発展過程及び将来の発展の方向が示され、また、拓殖大学国際学部農業コースでは農場において日本の大学生と協力して玉ネギ、大蒜を収穫し、交流を図りました。少ない団構成にもかかわらず全員が博士課程以上のレベルであり、各訪問先においても質の高い質疑が交わされ、密度の高い交流ができました。

拓殖大学国際学部農業コースの農場玉ねぎの収穫に参加する山東理工大生

他方食品科学学院からの学生は、東京工科大学、筑波農研機構食品研究部門を訪問し、それぞれ食品加工技術や食品包装技術の研究状況を学びました。東京工科大学は中国からの留学生受け入れに強い関心を示していました。

東京工科大学において魚のすり身研究室の実験

農研の食品研究所では、3年前の同大学からの訪問団との交流がきっかけとなり共同研究に参加していた博士課程の学生の李玲さんが、帰国後、博士となり、同時に同大学の教員に採用されました。また現在同大学で教員を勤める李艶傑さんは、2009年頃筑波大学に留学時一時期食品研究所においてやはり食品包装に関する共同研究に参加した経緯があります。過去のこうした交流の中から生まれた言葉では言い表せない親近感もあり、両機関関係者には旧知のような雰囲気がありました。

農研機構食品研究所にて

訪日団は従来から、日本の食品検査面にも強い関心を持っていたため、今回も都立衛生健康保健研究センターを訪問しました。首都東京の食品検査の重点事項について、細菌から放射線まで広範な内容の説明を受けました。山東省は日本に多くの野菜など生鮮食品を供給しており、日本の食品検査には大きな関心を有しています。この訪問は必要不可欠なものでした。

また、首都の野菜供給基地である大田市場、食品残債の飼料化工場であるアルフォス第2工場、日本未来科学館、TEPIAも訪問しました。それぞれ農業、食品科学を研鑽する学徒として見逃せないもので、日本の先端技術を体験する良い機会になりました。

飼料化工場の装置を見学する山東理工大の学生