2019年度 活動レポート 第27号:仙台高等専門学校

2019年度活動レポート(一般公募コース)第027号

モンゴル高専4・5年生対象の仙台高専専攻科教育体験プログラム

仙台高等専門学校からの報告

さくらサイエンスプログラムの支援を受けて招へいしたモンゴルの3高専(新モンゴル高専、モンゴル科学技術大学付属高専技術カレッジ、モンゴル工業技術大学付属モンゴルコーセン技術カレッジ)の学生10名と教員2名が、仙台高等専門学校・名取キャンパスの専攻科とその母体となる4学科、及び広瀬キャンパスの専攻科で、モンゴルでは行えなかった様々な実験演習行いました。また、宮城県名取市の震災復興関連施設を見学するとともに、地域企業において製造及び建設現場の見学を行いました。

まず、名取キャンパスの機械システム工学科の実習では、粘度の測定の基礎実験や風洞を使って翼の揚抗力測定を行いました。風洞を用いた実験、粘度計測が初めての学生がほとんどで、熱心に実験に取り組みました。

風洞を用いて翼の揚効力を測定

電気システム工学科の実習では、直流電動機や交流電動機の特性やその違いについて、実験を通して学びました。実際に配線作業も行い、電流や負荷を変化させながら、回転数の変化を計測し、電動機の基本的な特性を学びました。

交流電動機に配線し、回転数の変化を調べる

材料工学科では、日本の高専3年生のミニ研究のポスターセッション発表会に参加し、幅広く様々なテーマについて同じ学科の学生たちが取り組んでいることに驚いていました。

また、ロボティクスコース(電気システム工学科)で取り組んでいる前方車両を追尾する自動運転のコントロールの方法を学んだり、建築デザイン学科では「JIA全国卒業設計展」で入賞した建築作品(パネル・模型等)の展示に触れたりするなど、日本の高専生の取り組みについての説明に熱心に聞き入っていました。この様子は、7月29日に放映された、東北放送のニュース番組・Nスタみやぎでも取り上げられました。

仙台高専生の設計した建築作品の説明を聞く

建築デザイン学科のフィールドワークでは、地域を代表する建築界のノーベル賞と称されるプリッカー賞受賞建築家・槇文彦氏が設計した「名取市文化会館」を見学するとともに、東日本大震災で甚大な津波の被害を受けた名取市の閖上地区に出向き、震災復興事業の一環として建設された「災害復興住宅」、「名取トレイルセンター」、「震災メモリアル公園」、及び「かわまちてらす閖上」等、復興の現状について現場を視察しながら説明を受ける機会も設けられました。

名取トレイルセンターで震災復興を学ぶ

一方、広瀬キャンパスでは、専攻科科目「組み込みシステム設計」の最終発表会の聴講、「無線電力伝送」、「電子デバイス」、及び「人工物とヒトのコミュニケーション」分野の研究室の見学、外国籍教員との「日本留学のためのQ&A」を実施しました。

さらに、モンゴルでは機会が設け難い、産学連携教育の一環として行われる地元企業でのインターンシップも行いました。本校の産学連携振興会の会員企業である宮城県利府町の「株式会社ジー・イー・エス」では省力化生産設備・理化学機器の設計及び製作現場を見学し、宮城県東松島市では、「山幸建設株式会社」(土木・建築業)の橋梁基礎打設工事の現場見学も行いました。また、スリーエム仙台市科学館を訪れ、日本の最新の科学技術全般に触れてもらう機会も設けられ、モンゴル高専の学生にとって、将来、高度な技術者になるために非常に有意義な1週間となったようです。

仙台高専の福村校長と記念撮影