2019年度活動レポート(一般公募コース)第012号
佐渡島の森、里、海で多様な生態系とその保全について学ぶ
新潟大学からの報告
2019年7月20日から26日までの7日間、中国雲南省にある中国科学院シーサンパンナ熱帯植物園および昆明植物研究所より中国人学生をはじめ、ネパール、インドネシア、フィリピン、インド、ミャンマー、タイから引率を含む総勢17名を迎えて研修を行いました。今回の研修では、新潟県の佐渡島の森里海の多様な生態系とその保全について学びました。
森の実習では、新潟大学演習林において、日本における代表的な植生(常緑広葉樹林、落葉広葉樹林、常緑針葉樹林、人工林)を見学しました。長い間保護されてきた天然杉林を散策したり、日本でも希少な植生になりつつある自然草原での生き物観察を行いました。夕方は、佐渡の自然環境に関する講義を行い、この研修で見学する植生について体系立てて学びました。夜は自主的に夜間観察を行い、様々な夜行性の昆虫に出会うことが出来ました。その際、なんとマムシが2匹も現れましたが、気を付けつつ、興味津々で観察しました。
海の実習では、新潟大学臨海実験所にて、日本海とそこに生息する生物の特徴についてのレクチャー、所内見学を行いました。その後、臨海実験所の教職員の指導の元、シュノーケルで生物の採取を行いました。海のない地域出身の研修生の中には、初めて海に入る人もおり、初めは怖々といった感じで海に入っていましたが、すぐにシュノーケルにも慣れ、夢中で生物の採取を行っていました。採取した生物は、室内で大まかに分類し、各生物について説明を受けながら観察しました。熱心にスケッチを取る研修生もおり、海の生物に対する関心の高さを伺うことができました。岸壁採集やプランクトン採集も行い、海の生物の多様性に始終驚きを隠せない研修生たちでした。
里の実習では、佐渡の小佐渡地域にあるキセン城というビオトープで見学及び生き物調査を行い、かつては里山や里地に多く生息していた生物やそれを餌としていたトキについて学びました。タイミングよくトキも現れ、フィールドスコープを使って観察することも出来ました。
帰国前の東京では研修内容のまとめを行い、日本の生態系と自国の生態系についての比較を行いました。すべての行程を無事終え、全員帰国をしました。研修の中では、日本海地域の多様な生態系とその保全についての学びだけでなく、様々な日本の文化にふれる機会もあり、親交も深めることができました。今回の研修が将来、日本と各国との交流の架け橋になれば幸いです。