2018年度活動レポート(一般公募コース)第448号
フィリピンの若手研究者がラジオゾンデや気象レーダー観測データの解析技術を学ぶ
海洋研究開発機構からの報告
海洋研究開発機構(以下、JAMSTEC)では、フィリピン大気地球物理天文庁(以下、PAGASA)の若手研究者2名を招へいし、2019年2月13日~2月22日の日程で、科学技術研修コースのプログラムを実施しました。
今回のプログラムは、ラジオゾンデや気象レーダーの観測で得られたデータの解析技術をテーマとしています。ラジオゾンデとは、温湿度、気圧、風向・風速センサーを気球に取り付け、上空の大気の状態を計測する装置です。気象レーダーはマイクロ波を用いて降水の三次元分布を計測する装置です。これらの装置を用いて得られたデータを気象・気候学研究に活用するためには、データ精度を十分なものにするための補正処理・ノイズ処理といったデータ品質管理が必要です。そこで、PAGASAで実際にラジオゾンデ、気象レーダー観測を担当する研究者を招へいし、品質管理手法の伝授と、観測データを用いた将来の研究のための視野を広げることに繋がるようなプログラムを実施しました。
初日
JAMSTEC本部(神奈川県横須賀市)において、施設見学を実施し、各種展示や自律型無人探査機などを見学しました。
2日目・3日目
JAMSTEC本部にて、JAMSTECが実施してきた熱帯大気海洋観測研究プロジェクト、データ品質管理の必要性と具体例等について講義を実施しました。また、3日目には岸壁に着岸中の海底広域研究船「かいめい」を見学しました。
5日目・6日目
JAMSTEC横浜研究所(神奈川県横浜市)において、「地球シミュレータ」等の見学を行ったほか、ラジオゾンデデータを活用した数値モデル研究、JAMSTECで実施しているフィリピンを対象とした最新研究等についての講義を実施しました。
7日目以降
具体的な演習として、JAMSTEC研究者の指導を受けながら、ラジオゾンデや気象レーダーの観測データの品質管理・解析演習を行いました。また、招へい者の仕事内容や研究内容を紹介するセミナーを開催し、情報交換すると共に将来の共同研究の可能性について議論を行いました。
最終日
それぞれの参加者が今回のプログラムでの解析結果や学んだことを報告していただきました。
今回のプログラムでは、計画通りの成果を上げることができたほか、休憩時間や移動中にもお互いに積極的に情報交換ができました。送出し機関PAGASAの実施責任者からも、招へい者から有意義な研修であったと聞いている、との謝意を伝えられました。また、JAMSTECとしても、PAGASAの有望な若手研究者と交流できたことは、現在実施中の共同研究の今後の発展にとって有益です。このように、双方にとって非常に有意義なプログラムになったと思います。