2018年度活動レポート(一般公募コース)第443号
PDCAサイクルを意識した海外短期モノづくり留学生に対する技術指導
-自律制御ロボットによるメカトロニクス教育-
サレジオ工業高等専門学校 機械電子工学科
准教授 米盛 弘信さんからの報告
サレジオ高専では、2019年2月21日(木)~3月2日(土)の10日間、平成30年度「さくらサイエンスプログラム」プログラムを実施しました。本プログラムでは、フィリピンにあるサレジアンファミリーのカリタス・ドン・ボスコ・スクール(CDBS:Caritas Don Bosco School)のSTEMコースの生徒15名と先生1名を招へいし、モノづくりに関する短期講座を行いました。
題材は、機械電子工学科3年次に実施している自律制御ロボット「落ちない君」をベースとし、電子回路の基板製作からマイコンのプログラミング、および機械実習としてアーク溶接まで幅広い内容のモノづくり講習を行いました。特にロボットの製作においては、PDCAサイクルを意識し、製作だけではなく改善作業までの一連の活動を体得することを目的としました。
初日
羽田空港で合流して町田のホテルへ向かい、チェックイン後にフィリピンの生徒と本校学生で夕食を食べました。
2日目
サレジオ高専にて両校の学校紹介、自己紹介を英語で行い、校内施設見学(無響音室、電波暗室他)の後、秋葉原へ部品の買い出しツアーに出かけました。その後、近くの浅草寺・雷門・東京スカイツリーを見学しました。
3日目
いよいよ自律制御ロボットの製作に入ります。同日は、ロボットに使用する電子回路基板を製作しました。エッチングから初めてボール盤による穴あけ、部品のはんだ付けを行いました。
4日目-6日目
引き続き、はんだ付けを行い、完成を目指しました。5日目は、ギヤボックスの組み立てと基板間を接続するケーブルコネクタの製作、6日目はマイコンのプログラミングとロボットの組み立てを行いました。各自、自分で思い描くロボットの形に組み立てていきました。
7日目-8日目
組み立ての続きと試走を行い、改良を重ねました。8日目は、2班に分けてロボットの動作改良とアーク溶接を交互に行いました。アーク溶接では、オリジナルキーホルダを製作しながら溶接技術や安全衛生を学びました。
9日目
午前中に各自が製作した自律制御ロボットのトーナメント試合を行いました。試合は、絶叫と歓喜が入り混じった雰囲気で非常に盛り上がりました。午後は、実習生がパワーポイントにまとめる作業を行い、夕方からフェアウェルセレモニーとして、実習報告、試合結果の表彰、さよならパーティを行いました。
10日目
町田のホテルから羽田空港へ移動し、別れを惜しみながら帰国していきました。
フィリピンの生徒は、初めて行う教育内容に大きな興味をもって非常に真剣な眼差しで受講していました。実習中は、タガログ語・英語・日本語が混じり合い、相手に意思を伝えようと工夫する姿勢が見受けられ、日本・フィリピン双方の学生にWin-Winの関係が築けて非常に活発な技術交流になりました。このような機会を与えていただきまして、「さくらサイエンスプログラム」に大変感謝しております。
なお、CDBSの皆さんは、本体験を経て、日本で開催の「World Robot Summit」と「International Robot High School」の出場に向けて活動しています。サレジアンファミリーの活躍に温かい声援をよろしくお願いいたします。