2018年度活動レポート(一般公募コース)第440号
中国の大学生が日本のものづくりICT最前線を学ぶ
早稲田大学からの報告
さくらサイエンスプログラム「日本のものづくりICT最前線」は、2018年11月12日~11月21日の10日間にわたり、北九州市において実施されました。北九州学術研究都市には、早稲田大学大学院情報生産システム研究科(IPS)があり、2003年以来、生産技術と情報通信技術の融合をテーマに活発な教育・研究活動が行われています。IPSが受入れ機関となり、ものづくり文化の根付く北九州市へ西安交通大学から将来有望な若者を招へいし、日本におけるものづくりICTの最新事情を紹介することが実現できました。
招へい期間中には、講義、工場・施設見学、研究交流を行いました。これらは、参加者の日本の最先端科学技術への関心を高め、国際人材の育成へとつなげるために有効でした。ものづくりICT、あるいはこの延長線上にある産業応用IoTの分野は、ドイツを発祥とする第四次産業革命の出現によりにわかに注目を集めているが、本プログラムではとくにロボット、車、製鉄産業と環境産業に焦点をあてました。また、学術研究都市にある他の2大学(九州工業大学、北九州市立大学)の学生とも交流しながら、日本文化に親しんでもらうこともねらいとしました。
西安交通大学は、中国政府が21世紀に向けて重点的に投資することを決めた100大学(211国家大学建設計画)の中から、さらに1998年に中国中西部で唯一重点大学として指定された(985国家大学建設計画)理工系トップ校のひとつです。
とくに電気学院は、国家重点実験室等に指定されている研究環境を有しており、しかもその教育・研究領域は、受入れ機関であるIPSとは親和性が高いものです。また、両機関はすでに学術提携協定を結んでおり、今後の活発な交流が期待できます。
今回のさくらサイエンスプログラムでは、教員1名、学生9名が来日しました(経費自己負担で事務職員も1名参加)が、参加学生は、学院内での学業成績が上位1/3以内かつ英語コミュニケーション能力が十分であることを条件に選ばれた学部生でした。
そして、参加者全員が将来IPSの修士課程プログラムへの進学を視野に入れていました。この意味で、今回のさくらサイエンスプログラムによる招へいは、将来IPSの特色ある教育プログラム(学部4年次飛び級あるいはダブルディグリープログラム)による日本への留学、さらには世界で活躍する人材育成のための交流へとつながるものでした(※後日、実際に2名がIPSへの2019年9月入学を目指し受験申請をしました)。
本プログラム終了後、逆にIPSから西安交通大学に教員が訪問し、大学院についての説明会を開催しましたが、その際には、さくらサイエンスプログラムの研究交流に参加した面々が駆けつけてくれました。このような心温まる交流のきっかけを与えてくれたさくらサイエンスプログラムに、深く感謝します。