2018年度活動レポート(一般公募コース)第438号
ナノ・バイオテクノロジーの新たな融合研究を志向した
マレーシアプトラ大学とマレーシア科学大学との共同研究活動
九州工業大学大学院生命体工学研究科
池野 慎也さんからの報告
平成31年2月13日から3月5日までの3週間、交流協定校であるマレーシアプトラ大学から大学院生2名と引率教員1名、同じくマレーシア科学大学から大学院生1名と引率教員1名、合計5名を招へいし、国際共同研究活動を実施しました。本プロジェクトでは、科学技術により環境問題を解決するためには、「環境を浄化する技術」、そして「環境を保全する技術」の双方が必要であると考え、それらに関わる二つの研究分野(バイオ環境工学とナノバイオセンサ工学)に焦点を当て共同研究活動に取り組みました。
2月13日に来日し、到着日に日本での生活や研究活動における注意点に関するオリエンテーションを実施しました。翌日は、当研究科のいくつかの研究室を訪問し、地球環境や健康に関する社会的諸問題の解決への貢献をめざした教育・研究活動を見学して頂きました。午後からは滞在中の共同研究内容について打ち合わせを行いました。
3日目には、世界でも有数のバイオ生産研究の拠点である神戸大学バイオプロダクション研究施設訪問し、バイオマスの有効利用技術やバイオリファーナリー研究などの最先端の技術開発を学んで頂きました。
翌週から、環境調和型バイオセンサ素子の合成技術の取得を目的とした機能性ペプチドの合成、微生物への機能性付与技術の取得を目的とした遺伝子組換え実験、網羅的解析技術の取得を目的とした微生物の転写物の解析の3つのテーマに分かれて、本学の大学院生と一緒に共同研究を実施しました。
帰国の前日に、各テーマにおける研究の成果や今後の連携の展望について招へい院生全員がプレゼンテーションし、本学の大学院生・教員も含めディスカッションを行いました。3週間ほどの共同研究ではあまり進捗は望めないものと当初は考えていましたが、予想以上の進捗や問題点の発見などがあり、またディスカッションを通じて次の目的が見つかる等とても充実した共同研究活動であったと思います。
その後、送別会の際に当研究科長から修了証書と記念バッジを授与しました。研究室におけるコミュニケーションはすべて英語であり、また研究の取り組み方や考え方の相違を身近に感じ、研究室の日本人大学院生にとっても国際マインドを高める上で非常に貴重な経験となりました。
このプログラムで招へいした院生・教員からは、この素晴らしい機会が与えられたことに対して感謝の言葉を頂いております。この共同研究プログラムをきっかけに、先方の研究室との国際共同研究での短期相互派遣による学生交流がさらに進むことになりそうです。最後に、このような機会を与えていただいた「さくらサイエンスプログラム」、その他ご協力いただいた教員・学生・事務の皆様に心からお礼を申し上げます。