2018年度 活動レポート 第430号:名古屋工業大学

2018年度活動レポート(一般公募コース)第430号

空間認知による労働安全衛生管理におけるバーチャルリアリティ(VR)の影響

名古屋工業大学からの報告

さくらサイエンスプログラムの支援を受け、2018年6月21日から6月30日まで、マレーシアのラッフルズ大学イスカンダー校から教員2名と学部学生10名を受け入れました。

「空間認知による労働安全衛生管理におけるバーチャルリアリティ(VR)の影響について」のテーマに基づき、日本が誇る最先端の労働安全衛生管理について学べるように、トヨタ自動車の乗用車生産の中心的拠点である本社工場、トヨタグループのテクノロジーを結集して開発を進める次世代住宅研究施設、豊田自動織布工場を博物館へリノベーションしたトヨタ産業技術記念館、JRによる鉄道の発展と進化を展示するリニア・鉄道館〜夢と想い出のミュージアム〜への見学をはじめ、テーマに関する日本の知見と経験を深く習得できるよう、名古屋工業大学内外での講義と演習と研究発表などを10日間のプログラムとして遂行いたしました。

名古屋工業大学の主に建築・デザイン分野の教員や研究者による講義と演習では、環境工学を介した労働安全衛生管理に関する講義、三次元VRを介した建築意匠設計についての講義、ウェアラブルグラスを介した空間認知工学についての講義等を中心に行い、その成果として労働安全衛生管理を考慮したVRを用いた火事や地震等のシミュレーションによる安全な生産空間の設計演習を行い、最終日には一同が会しての研究発表会と講評会を開催いたしました。

6月22日

  • キックオフセレモニーとオリエンテーションによる10日間のプログラムについて概要を説明いたしました。
  • 10日間のプログラムの最初の講義として、北川啓介教授から近現代の名古屋界隈での主なものづくりの紹介とその中に通底するものづくりの精神について講義いたしました。
  • ラッフルズ大学イスカンダー校の学生によるマレーシアの伝統的な衣服文化と舞踊文化の実演後、名古屋工業大学の教職員と学生も参加しての文化交流を開催いたしました。
  • 名古屋工業大学の学生による日本の伝統的食文化と近代的食文化について体験する懇親会を開催いたしました。伝統的食文化として寿司や近代的食文化としてのたこ焼きを前にして、歴史的に様々な文化が共存するマレーシアの食文化について、名古屋工業大学の教職員と学生も深く知る機会となりました。
名古屋工業大学の教職員と学生が参加しての衣服文化の交流体験

6月23日

  • 名古屋工業大学内の教育施設と研究施設を見学いたしました。工学系の大学であることから労働安全衛生管理についても見学先の職員から説明を受けました。
  • 名古屋市科学館を見学し、日本の最先端の科学技術を学習いたしました。未来にもつながる科学技術の進歩を前に、ラッフルズ大学イスカンダー校の教員と学生と名古屋工業大学の学生が集まっては、これからの世界に必要な科学技術に求められる労働安全衛生管理について議論する場が何度もみられました。

6月24日

  • 世界トップクラスの安全性を誇る日本の鉄道網と管理システムを学ぶため、リニア・鉄道館〜夢と想い出のミュージアム〜を見学いたしました。乗客と労働者の安全を確保するための鉄道会社による労働安全衛生管理が向上した歴史と最先端の労働安全衛生管理の考え方について学習いたしました。
  • 日本の陶磁器製造業を牽引してきたノリタケの技術を学習するために、ノリタケの森を見学いたしました。ノリタケの創業期から現代までの陶磁器製造の技術の進歩と生産の現場の労働安全衛生管理について学習いたしました。
ラッフルズ大学イスカンダー校の教員による
マレーシアの鉄道網と管理システムの紹介と日本との比較考察の講義

6月26日

  • 日本国内外で高い安全性能を確保しつつ自動車を製造し提供し続けているトヨタ自動車の工場を見学いたしました。小さなリスクも確実に解決していくトヨタ自動車による乗用車を運転する利用者への安全衛生管理には、ラッフルズ大学イスカンダー校の教員も学生も大いに驚くべきものがありました。
  • トヨタグループによる自動車製造の技術を利活用した次世代住宅研究施設を見学いたしました。住空間としての豊かさと安全衛生をデザインによって日常の中に心地よさをもたらす方策について学習いたしました。

6月27日

  • ちょうど大相撲名古屋場所の朝稽古がはじまっていたことから、ラッフルズ大学イスカンダー校の教員と学生と名古屋工業大学の教員と学生の全員で、朝6時から見学させていただきました。日本ならではの伝統的な国技を目の当たりにするまたとない機会に、ラッフルズ大学イスカンダー校の教員と学生も時間を忘れて稽古を注目していました。
朝早くからの見学にも関わらず、迫力満点の親方と相撲力士の皆さんの取り組みに、
時間を忘れて目が釘付けとなったラッフルズ大学イスカンダー校の教員と学生
  • 名古屋工業大学にて、環境工学を介した労働安全衛生管理、三次元VRを介した建築意匠設計について、名古屋工業大学の教員や研究者から講義を受けました。
名古屋工業大学建築・デザイン分野の佐藤篤司准教授による
建築構造の観点からの労働安全衛生管理の講義
  • 名古屋工業大学にて、ウェアラブルグラスを介した空間認知工学について、名古屋工業大学の教員や研究者から講義を受けました。

6月28日

  • 名古屋工業大学にて、ウェアラブルグラスと縮尺模型を介した空間認知工学について、名古屋工業大学の大学院生による心理実験に参加しました。
名古屋工業大学建築・デザイン分野の須藤正時研究室の教員と学生による
ウェアラブルグラスを介した空間認知工学に関わる実演と紹介

6月29日

  • 最終日はラッフルズ大学イスカンダー校と名古屋工業大学の教員と学生の全員による、労働安全衛生管理を維持した空間デザイン演習と合同講評会を開催しました。前日までの様々な労働安全衛生管理についての現場を見学し、専門家から講義を受けたことにより、極めて実践的な意見が言及され、まさに今回のプログラムの集大成となりました。
名古屋工業大学の教員と大学院生と学部生も同席して、
10日間のプログラムを踏まえた実践的な労働安全衛生管理についてのディスカッション

今回の日本滞在は、名古屋界隈で培われた技術と理論を現場で学びつつ、その原理を講義や演習で学習する10日間でした。日本の文化等にも触れ、全員が再度日本を訪問したい希望をもっておりました。このような、ラッフルズ大学イスカンダー校の教員と学生のみならず、名古屋工業大学の教職員と学生にとっても、極めて貴重な機会を提供していただいたさくらサイエンスプログラムの関係者の皆様へ、あらためて心より深く感謝申し上げます。