2018年度 活動レポート 第429号:岩手県

2018年度活動レポート(一般公募コース)第429号

中国の若手研究員が岩手県の薬草栽培や土壌管理技術を学ぶ

岩手県からの報告

岩手県では、2013年に締結した「岩手県雲南省友好交流協力協定」に基づき、農業分野での交流を開始しています。さくらサイエンスプログラムの支援を受けて、2018年10月27日から11月6日まで、相互に開催している岩手県・雲南省農業シンポジウム等で交流を行っている中国雲南省農業科学院から、薬用植物研究所の若手研究者5名および引率の研究者1名、計6名を岩手県へ招へいしました。

まず成田空港から盛岡駅に移動し、岩手県庁内にて本プログラムの趣旨説明と岩手県の農業概要をスライドで研修しました。

翌日からは、岩手県農業研究センター、岩手県生物工学研究センター、岩手県農業研究センター県北農業研究所、岩手大学、岩手町薬草生産組合等を訪問し、薬用植物や岩手県特産のリンドウ、また、雲南省の薬用植物で課題となっている連作障害の一因と考えられる土壌肥料等について、研究員や教員とディスカッションを実施しました。

岩手県庁内で県の農業概要の研修

岩手県農業研究センターでは、センターの概要説明を受けたのち、試験ほ場の視察を行いました。岩手県は、りんどうの生産量が日本一です。一方、雲南省では、リンドウは薬用植物として利用されており、草丈が短いものがほとんどですが、リンドウの試験ほ場で視察を行った際には、雲南省のリンドウとの違いに、研究員と熱心に意見交換を行っていました。

また、連作障害の一因となっている土壌肥料については、圃場で簡易に肥料成分の測定が可能なシステムについて説明を受け、雲南省でもぜひ利用してみたいとの意見が多く出されました。

岩手県農業研究センターのリンドウ圃場にて

岩手県農業研究センター県北農業研究所では、研究所で実施している薬用植物に関する研究の説明を受けたのち、会議室において雲南省の研究者がプレゼンテーションを行い、雲南省での薬用植物研究の概要を説明しました。

岩手県では栽培されていない薬用植物の研究紹介等もあり、相互に活発な意見交換が行われ、岩手県側の参加者にも刺激となったようです。

岩手県農業研究センター県北農業研究所でプレゼンテーション

岩手県岩手町にある岩手町薬草生産組合の生産ほ場では、雲南省でも栽培されている薬草が栽培されており、雲南省産との系統の違いや品質の違いについての関心が高く、栽培管理に関する意見交換もされました。

また、収穫した薬用植物の調整を行う施設においては、岩手県の薬用植物の工程管理について説明を受け、調整管理に対する生産者の意識の違いを目の当たりにしたようです。

薬用植物圃場の見学

最終日には、茨城大学農学部を訪問し、附属国際フィールド農学センターの小松崎センター長およびグローバル教育センターの佐藤センター長から、主に農産物の研究に関する取り組みと国際交流の取組についてご説明をいただき、茨城大学農学部で研究を実施している薬用植物等について、先生方と意見交換を行いました。

茨城大学農学部にて意見交換

日本滞在中には、ラーメンや回転ずし、郷土料理レストランなども訪問するとともに、移動の新幹線車内では駅弁を食べるなど、日本の食文化についても体験できるよう努めました。

今回の交流事業を今後の岩手県と雲南省との交流促進につなげていけるよう、引き続き取組を進めていきたいと思います。