2018年度活動レポート(一般公募コース)第428号
中国雲南省農業科学院園芸作物研究所若手研究員が岩手県の園芸を学ぶ
岩手県からの報告
岩手県では、2013年に締結した「岩手県雲南省友好交流協力協定」に基づき、農業分野での交流を開始しており、相互に開催している岩手県・雲南省農業シンポジウム等で交流を行っている中国雲南省農業科学院から、さくらサイエンスプログラムの支援を受けて、2018年10月27日から11月6日まで、園芸作物研究所の若手研究者3名および引率の研究者1名、計4名を岩手県へ招へいしました。
まず、本県引率者が成田空港へ迎えに行き、初日は日程のオリエンテーションを行いました。翌日、東北新幹線で盛岡駅に到着。まずは岩手県庁内にて本プログラムの趣旨説明を行うとともに、岩手県の農業概要をスライドで説明し、雲南省と岩手県とのリンゴに関する意見交換を行いました。それぞれ立地条件や気象条件は異なるものの、農村部の高齢化や労働力不足等、共通の課題を見出すことができました。
翌日からは、岩手県農業研究センター、岩手県生物工学研究センター、岩手県農業研究センター県北農業研究所、岩手大学と、果樹や蔬菜類の試験ほ場において、研究員や教員とディスカッションを実施しました。
岩手県農業研究センターでは、せん定などのリンゴ栽培技術、新品種の育種等について、実際に園地や圃場を訪問し、研究者と活発な意見交換を行いました。
また、会議室内では研究内容について、リンゴの試食を行いながら意見交換を深めました。
岩手大学においては、農学部附属寒冷フィールドサイエンス教育研究センターを訪問し、由比教授や渡邉助教から、岩手大学のリンゴ栽培やブルーベリー栽培の研究、また、白菜やダイコンなど、野菜の育種等についても意見交換を行いました。参加者の中に、野菜の育種に取り組んでいる研究者がいたこともあり、アブラナ科の育種について岩手大学の先生方と熱心に意見交換が行われたようです。
岩手県農業研究センター県北農業研究所においては、土地利用型野菜である、キャベツやタマネギ等の研究について、圃場やビニールハウス内で、作物を見ながら研究者と意見交換を行い、雲南省と岩手県との違いについて相互の理解を深めました。
また、研究機関へ訪問する途中には、農産物直売所を見学し、雲南省と岩手県との農産物の種類の違いや農産物直売所の運営について活発な質問が出されました。特にリンゴについては、多様な品種が販売されていることに驚いていました。
最終日には、茨城大学農学部を訪問し、附属国際フィールド農学センターの小松崎センター長およびグローバル教育センターの佐藤センター長から、主に農学物の研究に関する取り組みと国際交流の取組についてご説明をいただきました。雲南省からの参加者は、自身の研究内容を紹介し、その後訪問した農学部圃場においては、先生方との意見交換が大いに弾みました。
最後に東京へ移動し、日本科学未来館を見学。研究者たちは、ロボットや国際宇宙ステーションの展示等、ロボット技術を中心とした、日本の科学技術に高い関心があり、閉館ぎりぎりまで見学を行いました。
岩手県では、さくらサイエンスプログラムの活用は初めてでしたが、今回の交流事業を今後の岩手県と雲南省との交流促進につなげていけるよう、引き続き取組を進めていきたいと思います。