2018年度 活動レポート 第406号:東北大学

2018年度活動レポート(一般公募コース)第406号

先端科学技術の研究研修「超硬合金開発に関する研究」

東北大学からの報告

東北大学金属材料研究所非平衡物質工学研究部門では、さくらサイエンスプログラムの支援を受け、2019年2月20日から3月10の19日間、New Mongol Institute of Technology(以下NMIT)の若手教員1名と学部学生2名を受け入れました。この研修で参加者は超硬合金開発に必要不可欠である粉末冶金技術を学びました。この経験を基に、自国資源を用いて付加価値の高い金属材料を開発し、モンゴル国の発展を手助けする目的で行われました。

 

国立科学博物館視察

2月20日に成田空港に到着した一行は、当研究室のモンゴル国留学生と合流し、翌日に国立科学博物館を視察しました。国立科学博物館では、特別展「明治150年記念 日本を変えた千の技術博」が開催中で、本研究所からK.S.磁石鋼、センダスト、コエリンバーが出品されており、日本の金属工学の発達の歴史を学ぶことができました。

粉末冶金技術の基礎学習と実習(2月22日~3月8日)

高圧ガスアトマイズ装置、遊星ボールミル装置、放電プラズマ焼結装置(SPS)を見学し、金属微粉末製造原理、粉末混合や機械的合金化、粉末焼結原理を学びました。また材料分析装置である走査型電子顕微鏡、エックス線回折装置、硬度試験機の動作原理や操作方法を学びました。このあと、参加者がモンゴル国から持参した材料粉末を用いて超硬合金を作製し、その組織、相、硬度を評価する実習を行いました。粉体配合や焼結条件と超硬合金性質の関係を熱心に調べていました。

放電プラズマ焼結装置準備の見学

最先端技術の見学

2月26日には本学工学研究科の野村直之准教授を訪問し、最先端の粉末冶金技術である金属三次元積層造形を学びました。金属微粉末を一層毎に積み上げて作製した複雑で精密な造形体を手に取りその技術に驚き感銘を受けていました。

3月4日には本学先端電子顕微鏡センターの今野豊彦教授を訪問し、超高分解能収差補正型分析電子顕微鏡、集束イオンビーム装置を見学し、最先端の材料組織観分析を学びました。材料開発における組織分析の重要さを理解し、将来共同研究を通して試料を分析したいと希望していました。

先端電子顕微鏡センター見学

企業見学

3月1日に株式会社真壁技研(宮城県仙台市)を訪問し、金属粉末量産装置や鋳造装置を見学しました。3月7日には、TPR工業株式会社(山形県寒河江市)を訪問し、遠心鋳造による特殊鋳肌部材の製造工場を見学しました。これらの企業見学では、大学研究室には無い産業用大規模装置やNCロボットによる無人化ラインを見学することができました。生産能力や製品の応用先などを積極的に質問していました。

TPR工業株式会社見学

文化体験、交流

実習の空き時間や、休日を利用して仙台市博物館、仙台市天文台、仙台市科学館を見学し仙台の文化や歴史への理解を深めました。研究室セミナーを開催し、モンゴルの文化やNMITを学生に向けて紹介してもらいました。活発な議論が起こり互いの交流が深まって有意義なものになりました。

研究室最終日の3月8日に加藤秀実教授が修了証を授与し再会を誓いました。翌日に一行は東京へ移動し都内視察を行い、そして3月10日に無事帰国しました。

修了証の授与と集合写真

本プログラムを助成してくださった「さくらサイエンスプログラム」、研修にご協力頂いた本学ならびに企業関係者の皆様に深く御礼申し上げます。