2018年度活動レポート(一般公募コース)第400号
中国の大学院生が京都大学化学研究所の先端化学研究を体験
京都大学からの報告
さくらサイエンスプログラムの支援のもと、2019年2月24日から3月3日にかけて、中国・南京大学生命科学院から11名(大学院生10名、引率教員1名)を京都大学化学研究所に招へいしました。プログラム中は、招へい学生10名を4組に分けて化学研究所の4研究室(生化学系)に配属し、研究所の最先端研究を体験する機会を提供しました。具体的には以下のことを行いました。
青山研究室
シロイヌナズナの特定の遺伝子に対する機能欠損変異をランダムな組み合わせで持つ幼植物体の集団から、興味のある表現型を示すものを選抜し、その遺伝子型をPCR法を用いて決定し、それらの表現型と遺伝子型の関連を考察しました。
二木研究室
研究室で日常的に行なっているMALDI-TOF-MSを用いた分子量測定や、共焦点顕微鏡を用いた細胞内物質送達の観察をおこないました。また、実験の合間に研究室のスタッフや学生の研究内容を個々人が紹介する時間を設けました。
上杉研究室
研究室で日常的に行っている生理活性物質のメカニズム研究に参加しました。ケミカルバイオロジー的な手法、蛍光法、動的光散乱法を使って、生理活性物質の生体分子との相互作用を分析しました。
栗原研究室
受入研究室の研究内容について担当教授から概要説明を受けるとともに研究施設を見学しました。微生物細胞からタンパク質やリポ多糖などの構成成分を調製し、電気泳動などによる分析を行いました。また電子顕微鏡観察に供する微生物細胞の調製を行いました。受入研究室の論文紹介セミナーにも参加しました。
化学研究所滞在最終日の3月1日、化学研究所にて平成30年度化学研究所大学院生研究発表会が開催されました。研究所の教員、学生、職員が一度に集まる年に一度の行事であり、この絶好の機会を利用して、招へい者10名にジョイントプログラムとしてポスター発表をする機会を用意しました。発表の内容は、10名が自国で行っている研究内容について紹介をしました。多くの研究所の教員や学生が彼らのポスターに興味を示し、質問などを通して交流を深め、大盛況に終わりました。化学研究所の多くの研究者と直接交流することができ、刺激的な体験となったことでしょう。
日本滞在最終日の3月2日は、京都大学高等研究院iCeMSやIPS細胞研究所が所在する、京都大学吉田キャンパスを訪問しました。島津製作所創業記念資料館にも訪問し、島津製作所の理化学器械、医療用X線装置や産業機器をはじめ事業活動に関連する歴史的な文献・資料などの展示を見学し、知識を広めました。
本プログラムの実施は、参加者の皆さんが化学研究所の最先端化学研究技術を見学・体験できただけでなく、今後の両大学間の国際交流事業における更なる発展を促進させるきっかけとなったことでしょう。