2018年度 活動レポート 第397号:山形大学

2018年度活動レポート(一般公募コース)第397号

寒冷地における雪氷に関する防災とエネルギー活用に関する研究と技術

山形大学からの報告

2019年2月26日(火)~3月5日(火)、中国吉林省・東北電力大学工学部から学部生10名および引率教員1名が来日し、さくらサイエンスプログラム・東北電力大学プログラムが実施されました。

「寒冷地における雪氷に関する防災とエネルギー活用に関する研究と技術」をテーマに、両大学が寒冷地にあるという共通点を活かし、先端施設の見学や実地見学、さらには学内に積もった雪を使っての計測など、幅広い視点から、寒冷地をめぐる研究について理解を深めました。

旧米沢高等工業学校本館(国の重要文化財)の前で記念撮影

初日は、世界に誇る本学の最先端の研究、有機エレクトロニクスや3Dゲルプリンター等について学内外の施設を見学しました。本キャンパスは、中国のように広い敷地ではありませんが、研究棟の最新の実験施設や初めて目にするディスプレイに皆、驚いた様子でした。

最先端研究施設見学・3Dプリンタ★ラボ(古川研究室)

今回のテーマである雪氷については、まず寒冷地での人々の快適な生活維持という観点から米沢市役所を訪れ、除雪計画や除雪対策についての講義を聴いた後、実際に巨大な除雪車を見学しました。参加者からは除雪車の設計や構造等、機械システムに関する興味深い質問が積極的になされました。

次に、翌日、国立研究開発法人 防災科学技術研究所雪氷防災研究センター新庄雪氷環境実験所を訪問し、同センターの活動内容や近年の雪害の状況について説明を受けた後、施設内の実験の様子を見学しました。雪氷防災実験棟では、人工的に雪を降らせ、雪崩や着雪・着氷の様子を観測している様子を見学することができました。

新庄市防災科学技術研究所雪氷防災研究センター見学

その後、本学の学生と東北電力大学がある吉林市と山形大学がある米沢市との寒さの違いや、寒さによる弊害や対策、エネルギー使用、新しい取組等にて英語でディスカッションを行いました。寒いという共通点はあるものの、気象現象、使用エネルギー、都市環境整備には大きな違いがあることがわかりました。

夜は蔵王山頂に行き、樹氷を見学しました。樹氷は特殊な気象条件下で成長するもので、非常に珍しい幻想的な光景に皆、目を奪われていました。大学に戻ってからは、現在の山形県の利雪克雪例とその課題、雪のエネルギーの計算方法について講義を聞いた後、両大学混合のグループごとに学内に降り積もった雪を実際に測定し、そのエネルギー量と活用方法について発表しました。

雪エネルギーについての計測と推算および検討

今回の宿は、米沢市郊外にある農家民宿に4泊し、地方に住む日本人の日常生活も体験しました。当初は宿の方とうまく意思疎通ができるか不安だった様子でしたが、画期的な翻訳機を国から持参してきており、すぐに会話の問題は払拭され、帰る頃には家族のような絆が生まれたようでした。

日程の最後は東京にある日本科学未来館を見学しました。アンドロイドや空間情報等の展示では、サイエンスコミュニケーターの方々から丁寧な説明を受けながら、未来をつくる様々な革新的技術に大きな関心を寄せていました。

多くの学生が短期交換留学や大学院進学など、次の機会を活かして再来日することを心に誓い、成田空港から帰国しました。