2018年度活動レポート(一般公募コース)第396号
黒潮圏流域の「沿岸域の海洋管理」を担う学術人材ネットワークの連携強化と拡大
高知大学からの報告
2019年1月20日から27日までの10日間、さくらサイエンスプログラムの支援をうけて、2か国・7機関(ビコール大学(フィリピン)、フィリピン農業省・漁業水産資源局第2地域支所、カタンドゥアネス州立大学(フィリピン)、バタンガス州立大学(フィリピン)、国立東華大学(台湾)、国立台東大学(台湾)、国立台湾海洋大学)から10名の大学院生・若手研究者・教員を招へいしました。
科学の発展や科学と結びついた技術の発展によってより便利で豊かな生活がもたらされた一方で、人的活動の急激な成長が自然資源の持続性を脅かすとの指摘もあります。そこで「環境・人類共生」の精神を培い、かつそれを体現できる学術人材育成・交流を分野横断的に図るという趣旨のもとで、高知大学大学院黒潮圏総合科学専攻が主体となって、プログラムを実施しました。
オリエンテーションでは、ガイダンスを行った後、研究テーマを含めた自己紹介をして、参加者同士で交流を深めました。
高知大学海洋コア総合研究センターでは、当センターの研究設備について説明を受けた後、海洋コアの冷蔵保管庫内や、掘削コア試料を用いた解析を行う実験室を見学しました。
国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所四国支所では、構内樹木園を散策し、陸域における資源である森林資源の管理や持続的な林業システムについて学びました。
高知大学海洋生物研究教育施設では、藻類の生態学・生理学について講義を受けました。また調査実習船に乗り、湾内で海産動植物のサンプルを採取するなどのフィールドワークを行いました。
高知大学・奥田理事(教育・国際担当)を表敬訪問し、高知大学における国際交流の状況などについて説明を受けた後、意見交換をしました。将来、留学することを視野に入れた活発な意見交換がなされました。
室戸でのプログラムでは、大地と海をテーマとして、室戸世界ジオパークや海洋深層水の研究・教育施設、地元企業を訪問しました。室戸世界ジオパークでは、説明を受けながらフィールドを巡り、人と大地の共生について理解を深めました。また海洋深層水の研究・教育施設や企業を視察し、産学官のそれぞれの視点から、海洋深層水の利活用について学びました。さらに地下海水を用いた環境負荷の少ない循環型陸上海藻養殖を行っている合同会社シーベジタブルを視察しました。
セミナーでは、引率者として来日した2名の研究者が、地球温暖化による海水温上昇がサンゴの生態史・生態系に与える影響や海藻の生態学について講義を行い、海洋・沿岸域における持続可能性のあり方についてディスカッションをしました。
海域から陸域、地上から地下までをフィールドとした様々な交流活動を通して、日本の科学技術や研究に対する理解や関心だけでなく、日本文化への興味も醸成されたことがうかがわれました。
多大なご支援を賜りこのような交流の機会をいただいたことに深く感謝申し上げます。