2018年度活動レポート(一般公募コース)第387号
陽電子科学および材料科学分野における日本の先端研究を学ぶ
産業技術総合研究所・計量標準総合研究センターからの報告
このたび、さくらサイエンスプログラムの支援を受け、中国の武漢大学、武漢工程大学、中国地質大学、中国科学技術大学と中国高エネルギー研究所からそれぞれ大学院生や若手研究者2名(合計10名)を招へいし、2018年10月31日か11月9日までの間、科学技術体験コースを実施しました。
本プログラムにおいて招へい大学院生らは、陽電子科学および材料科学分野における日本の先端研究を学ぶとともに、世界で活躍する日本人研究者や現役学生との交流を深めるため、産総研つくばセンターで関連研究に関する講義を受講し、京都大学で開催された研究ワークショップに参加しました。
これら活動により、日本における研究レベルの高さを認識すると同時に、日本人研究者や学生との親交を深めることもでき、その結果、日本研究者らとのネットワークや将来の共同研究むけた活動基盤を構築できました。
産総研で実施されたプログラムでは、陽電子分析法、加速器ベース陽電子ビーム技術、高分子材料分析、陽電子科学概論、計量標準開発、機能性材料開発、コンパクトX線源開発など、産総研で先導する世界最先端研究に関した講義を受講し、それら講義に関係する実際の測定装置の見学を行いました。
さらに、関東周辺の陽電子低速ビーム科学の主要施設の見学も行いました。つくば市では、筑波大学・上殿教授の研究室と高エネルギー加速器研究機構の低速陽電子施設を見学しました。その後、東京にて東京大学・浅井教授の研究室を訪問し、高密度ポジトロニウム生成技術に関する講義を受講するとともに、実験設備の見学をしました。
そして、京大陽電子科学研究ワークショップ(主催:京都大学・土田 秀次准教授と産総研・オローク ブライアン主任研究員、開催地:京都大学宇治キャンパス)にも参加しました。この研究ワークショップは、さくらサイエンス事業のために企画され、関西周辺の大学生、大学院生と招へい大学院生らを参加主体として開催されました。
京都大学、大阪府立大学、東京大学、東北大学の最先端研究者からの招待講演5件をはじめ、学生らの口頭発表9件(さくらサイエンス招へい者5件、日本の学生4件)とポスター発表9件(さくらサイエンス招へい者5件を含む)によりプログラムが構成されました。
招へい者10人を含めて27人が参加した活発な研究会でした。研究会の前には大阪府・熊取市にある京都大学原子力実験所を訪れ、原子炉ベースの低速陽電子ビーム施設の講習を受け、それら施設の見学をしました。
招へい大学院生らは、本プログラムを通じて日本における充実した研究環境や研究実践現場に直接触れられたことの喜びを表すとともに、初めてとなる日本での生活環境を体験できたことや、歴史・文化への理解を深めることができたことが大変有意義であったと感想を述べていました。
最後に、このような貴重な機会を与えていただいた「さくらサイエンスプログラム」にお礼を申し上げます。