2018年度 活動レポート 第380号:中央大学

2018年度活動レポート(一般公募コース)第380号

製品やサービスのデザインに対する感性認知の国際比較

中央大学理工学部からの報告

2018年11月21日~2018年12月5日(15日間)、中国・清華大学から大学院生とポスドク合計4名を招へいして、共同研究プログラムを実施しました。

 

交流・研究の内容

利用者に使いやすさ・わかりやすさを感じさせるために、想定する利用者の年齢や性別、育った文化の違いを考慮して、製品やサービスがデザインされるようになってきました。しかし、近年急速に増えてきている人工知能が搭載された製品やサービスに対して、利用者が信頼感・親近感を感じるためには、その外観・インタラクション方式がどのような要件を満たすべきか、未詳な点が多くあります。

本プログラムでは、中央大学・清華大学での本格的な共同研究立ち上げの準備として、人工知能が搭載された製品やサービスのインタフェースに対して、日本・中国の文化的背景の違いによる主観評価の違いを共同で調査・分析することを試みることを目的に実施しました。

 

研究交流の基礎として、ホスト研究室である加藤研究室の院生・学生から、デモとともに詳細な研究紹介を行いました。また、関連分野の研究室として、3学科5研究室への見学・研究紹介を実施しました。

清華大学の研究紹介をする場として、加藤研究室の院生・学生を対象に、詳細な研究紹介を行いました。また、中央大学・東京電機大学合同の感性工学研究発表会でも、清華大学の紹介および概括的な研究紹介を行いました。

知見を広げる取り組みとして、感性工学分野の著名な研究者を講師として招き(3名)、特別セミナーを実施しました。セミナーは公開で行い、学外から研究者・実務家者も参加する中で、専門的な観点からの議論も活発に行われました。

 

また、感性工学関連分野の研究機関として、産業技術総合研究所(台場の人工知能研究センター、デジタルヒューマン研究センター、及び、つくば研究センターの人間情報部門)、筑波大学人間総合科学研究科(感性デザイン関連の研究室)も訪問しました。訪問先では、実験システムや研究成果物を実際に体験しながら、研究的な観点からの議論を行いました。

 

これらの取組と並行して、加藤研究室の院生・学生と実験の詳細についての議論・検討を進め、実験の高度化や、中国サイドでの対照実験の計画の検討を進めました。(帰国後、中国人学生を対象とした対照実験を行い、日本・中国での文化的な違いの共同研究を進めています。)

最終日にはこれらの取組で得た知見を整理し、また、将来の共同研究・共同実験の実施に向けた提案などの発表会を、理工学部長、関連研究室の研究者・院生・学生、JSTからも参加を得て実施しました。

さくらサイエンスプログラムの共同研究プログラムは、本学では初めての取り組みでしたが、招へいした院生・ポスドクが非常に優秀で、進行中の研究交流の強化、また、新しい研究交流のスタートに、非常に有効でした。学生レベルでの交流の活発化はもちろん、本学のグローバル化、研究のグローバル化、研究力の増強の方策にも有用なことを実感しました。