2018年度 活動レポート 第379号:北九州市立大学

2018年度活動レポート(一般公募コース)第379号

ゼロ・カーボン先進街区形成のための科学学習プログラム

北九州市立大学国際環境工学部
岡本 則子さんからの報告

北九州市では、平成20年7月より、環境モデル都市として、城野ゼロ・カーボン先進街区の整備に取組み始めました。また、北九州市では、平成23年12月、政府から「グリーンアジア総合特区1」及び「環境未来都市2」の指定を受けており、国内外の先導的な環境配慮型のまちづくりをさらに躍進させるべく、北九州市全域において関連事業を展開しています。

本事業においても、「先進街区」の名称に象徴される通り、環境配慮型のまちづくりの先進地として地域をあげて取り組み、環境性能の高さばかりではなく、良好な住環境を維持・向上する仕組みを導入した次世代のまちづくりに挑戦したいと考えています。

平成28年から町の整備の骨格ができ、入居者も増え、ゼロ・カーボン先進街区として全国から注目されています。その中には、多くの科学技術が採用されています。例えば、HEMS、見える化技術、太陽光発電、そしてタウンマネジメントシステム等があります。この取り組みは今後も続くため、本校は海外の学生が我が国の先進的な建物技術、街区管理技術を学ぶ絶好の場所といえます。本プログラムでの科学体験は、今後、持続可能な社会の創生に必ず役に立つと信じています。

北九州市の城野地区において、エコ住宅や創エネ・省エネ設備の設置誘導、エネルギーマネジメントによるエネルギー利用の最適化、公共交通の利用促進など、様々な低炭素技術や方策を総合的に取り入れて、ゼロ・カーボンを目指した先進の住宅街区を整備しています。

本科学体験プログラムでは、ゼロ・カーボン技術を学習するだけではなく、実際に城野ゼロ・カーボン先進街区の実践を体験しながら、最先端の科学技術を学ぶことを目的とします。今回の助成を受け、インドネシアバンドン工科大学から10名の学生が約10日の「水ゼロ・カーボン先進街区形成のための科学学習プログラムの」に参加しました。

国際環境工学部の龍学部長、岩田担当部長及び担当教授から歓迎の辞を頂きました。

取り組み内容は主に以下の演習講義を行いました。

①住宅・施設の低炭素化の目標 ②住宅・施設の低炭素化の技術 ③先進街区全体でのエネルギーや環境負荷低減の方法 ④先進街区全体でのエネルギーの最適化 ⑤環境配慮型のまちづくり評価の科学手法

前半は、主にゼロ・カーボンの概念、手法及び技術について学習しました。中間には城野ゼロ・カーボン先進街区の見学を行い、後半は環境配慮型のまちづくり評価手法CASBEEにより、ゼロ・カーボン街区の評価演習を行い、研修の報告会を開催しました。北九州市内のゼロ・カーボン街区の現場体験を通して、創意工夫による多様な建築都市環境づくり手法を勉強してもらいました。我が国の優れた町づくりの技術を伝え、日本人学生との交流も行いました。

授業風景

授業の間に分散型エネルギーシステムとして、ゼロ・カーボン技術として、水素燃料電池、太陽光発電システムを見学し、吸収式冷凍機との組合で省エネルギー達成の仕組みを習いました。

ゼロ・カーボン技術水素燃料電池の見学

水素及びゼロ・カーボン技術について、北九州東田の水素タウン及びゼロ・カーボン先進街区城野の視察を行い、水素による燃料電池のゼロ・カーボン仕組みや太陽光発電、エネファーム等の技術によるネットゼロカーボンの実現等について勉強を行いましたた。

またエコタウン、エコハウスの見学も行いました。

エコハウスの見学

さくらサイエンスプログラムの10日間があっという間に過ぎてしまいました。授業や見学等を通じて、ゼロ・カーボン先進街区の仕組みや効果を招へい者に伝えることができ、当初の目標を達成することができました。本プログラムを機に、招へい者たちが帰国をしてからも、自国ないしアジアの新しい環境産業の振興へ貢献する人材になっていくことを期待できると思います。

小倉城にて