2018年度活動レポート(一般公募コース)第364号
インド高速鉄道運営を牽引する研究人材育成プログラム
東京大学大学院工学系研究科
渡邉 聡さんからの報告
東京大学大学院工学系研究科では、さくらサイエンスプログラムの支援を受けて、2018年12月15日から22日まで、機械分野でインド工科大学(IIT)カラグプール校6名、土木分野でIITデリー校3名、ハイデラバード校3名、カンプール校3名の大学院学生合計15名と引率教員のIITカラグプールの教授1名を招へいしました。
インドにおいては、日本の新幹線方式を採用した高速鉄道整備事業が2023年の全線開通を目指して進んでいます。完成後、高速鉄道を正確・安全に維持管理、運行できるようにするため、インド国内における人材育成が喫緊の課題であり、特に、専門的知見を有し、外国技術の移転に対応できる高度研究人材の育成は非常に重要であると考えます。
本プログラムは、日印のトップ大学の土木・機械の大学院生が交流して最先端の研究を体験するとともに、日本で実際に稼働している鉄道の現場および鉄道研究関連施設見学を通じて、自国の技術移転問題への関心を喚起できるように構成しました。このプログラムを通じて、インド高速鉄道をはじめとする鉄道技術関連分野における人材育成に係る取組を広く支援していきたいと考えています。
参加学生は、来日翌日の日曜日に、早速、東京駅から新幹線を利用して大宮の鉄道博物館を訪れました。本学での活動初日にはオリエンテーション、キャンパスツアーを実施し、社会基盤学専攻の講義にも参加しました。
1週間という短い滞在期間でしたが、この他に、鉄道総合研究所、本学柏キャンパス千葉実験所、駒場キャンパス生産技術研究所の研究室の見学など、密度の濃いスケジュールをこなしながら、我が国の鉄道技術研究の最先端に触れる企画を提供できたと思っています。
本学工学系研究科修士課程に在籍するIIT出身の学生がキャンパスツアーを行い、各研究室では、在学中のインド出身の留学生や他の留学生から直接研究内容の説明を受けて、参加したIITの学生が活発に質問する姿が見られました。
また、学生が皆初来日であることに鑑み、日本語教室、茶道体験など、日本の文化を体験する機会も設けました。
今回はプログラム期間中の12月20日に、平成29年から開始された「日印交流プラットフォーム構築プログラム(大学の世界展開力強化事業(インド・タイプB))」のシンポジウムが開催され、本プログラムで来日した学生・教員もこのシンポジウムに参加しました。日印交流史に関する示唆に富んだ講演をはじめ、日印の教育・研究連携、産官学連携に関しての講演やディスカッションが行われて、参加した当プログラムの学生も熱心に聞き入っていました。