2018年度 活動レポート 第333号:国際環境技術移転センター

2018年度活動レポート(一般公募コース)第333号

パラオの高校生10名が環境保全をテーマとした科学技術交流に参加

国際環境移転センターからの報告

2018年11月28日から12月6日の9日間、パラオ共和国の高校生10名と随行員1名を受入れ、研修を実施しました。

パラオ高校が所在するコロール州は、同国最大の都市としてパラオの人口の半数以上が集中していること、観光資源が多く観光客の増加による深刻なごみの問題を抱えていることなどから、同国の廃棄物管理問題を背景にした環境保全をテーマとしました。パラオ高校では同国教育省の方針によりカリキュラムに科学的要素を多く取り入れ、参加者は皆科学クラブに所属しており、様々な分野における科学技術に興味を示すとともに、廃棄物削減についても強い関心を持っています。滞在中は、当センターを拠点に、環境保全の観点から日本で取組まれてきた様々な科学技術の事例を学びました。

当センターにて開講

到着して早々、まず「四日市公害と環境未来館」では、日本のくらしの歴史から、公害の発生経緯と被害、環境改善に向けた対策などを学び、大変な経験を経て現在の日本があることを理解しました。

四日市公害と環境未来館見学

三重大学との交流では風力発電の仕組みについて体験型で学習しました。教授と大学院生のサポートのもと、大型風洞実験装置での強風体験や、グループ対抗で、小さな木製車体に手作りの紙製の風車を取り付けて小型風洞内で走らせました。風力のエネルギーによる運動を観察し、羽の形や大きさの微妙な調整により回転具合が変化することを理解しました。

大学での風力発電実習実験

企業ではガラスやプラスチックなどのリサイクル技術など、近年開発されてきた日本の技術に触れ、廃棄物処理の可能性を知ることができました。

リサイクル技術見学(プラスチック)

東京では日本科学未来館を訪問して様々な展示に触れ、科学技術とその未来を楽しく体験するとともに、プログラムの締めとして駐日パラオ大使館を訪問し、日本で学んだことや日本の印象などを1人ずつ発表しました。日本が非常にクリーンであること、資源物を適切にリサイクルしていること、また日本での技術開発の可能性などが印象深かったと話しました。

滞在中は、前述した日本の大学生や高校生、地域の方々と様々な形で触れ合いました。特に川越高校での交流では、それぞれ自国と高校の紹介を行った後、パラオの高校生からは自分たちで考案した民族ダンスを披露し、一緒に踊るなどして盛り上がりました。また、数学の授業に参加して問題を一緒に解いたり、教室の清掃なども一緒に行うなど、盛りだくさんの内容で日本の高校生活を体験しました。また、地域のボランティアの各ご家庭に訪問させていただいたり、お茶の体験など、日本の生活習慣や文化に触れることもできました。

高校でのグループワーク(数学)

帰国後、参加者は科学クラブのメンバーに対して報告会を行いました。本プログラムを通して自国での廃棄物管理の現状やあり方を再認識すると同時に、環境保全について深く学習できたようでした。参加者は皆、限られた期間の中、貴重なプログラムに参加できたと感じており、他の多くの仲間にも日本で多くのことを学んでほしいと話していました。

さくらサイエンスプログラムのご支援の下、パラオの未来にもつながる実りあるプログラムとなりましたこと、また、ご協力いただきました三重県、四日市市をはじめとする県内の関係皆さま方にこの場をお借りしてお礼申し上げます。