2018年度活動レポート(一般公募コース)第326号
中国・長春理工大学の学生が日本の先端物質科学実習を体験
岡山大学からの報告
岡山大学異分野基礎科学研究所ではさくらサイエンスプログラムの支援を受けて、2019年2月17日から24日までの8日間、長春理工大学から大学生6名と教員1名の計7名を招へいしました。プログラムの目的は、日本の先端物質科学の研究と技術に対する招へい者の関心を高めることです。そのために放射光科学と超伝導物質科学の2種類の実習を行いました。
長春理工大学の7名は2月17日21時ごろ岡山空港国際線到着口に現れ、バスで移動した後、ホテルにチェックインしました。2月18日は10時から岡山大学理学部でオリエンテーションと自己紹介の後、理学部紹介のビデオを見ました。午後は学内を歩き、レーザー、超伝導やニュートリノ関係の研究室と図書館を見学しました。夕方には生協で懇親会を開きました。長春理工大学から7名、岡山大学11名の計18名が参加しました。岡山大学側には中国人留学生2名が含まれており、彼らに中国語で岡山大学の紹介をしてもらいました。
2月19日から22日まで学生たちは2グループに分かれ、それぞれが2つの実習を経験しました。一つの実習期間は2日です。超伝導物質科学実習では超伝導コースターの作製に取り組みました。磁石のついたテープを使って円形、楕円、ループ形状のコースを自作し、その上に液体窒素で冷やした超伝導体おいて走らせる、という内容です。スムーズに長時間の走行できるよう、学生たちはコースの作製に創意工夫を凝らしていました。
放射光科学実習では放射光施設と放射光光電子分光を学びました。光電子分光は物質科学の分野において、物質内の元素の同定や化学状態を調べるための重要な分析手法です。学生たちは、まず岡山大学で未知(元素名をふせた)の薄膜を作製し、それを広島大学放射光科学研究センター内にある岡山大学ビームラインに持ち込んだ後、放射光光電子分光により元素の分析・同定をしました。光電子分光の原理やスペクトル解析の説明を受けたり、実験ホール内や加速器の見学をしたり、2日間にわたり放射光関連について集中的に学習をしました。
23日は実習のプレゼンテーションを行いました。各グループは実習内容について約30分の発表をしました。実習中に出した宿題に丁寧に回答し、また、動画を使ってわかりやすく説明していました。修了式では実習や日本と中国の漢字の違い、岡山と長春のことについての話に花が咲きました。最後に招へい者の皆さんが修了書を受け取って閉会しました。翌24日の午前中の飛行機で招へい者の皆さんは日本を出国し、プログラムは終了となりました。
アンケート結果をみると、目的とした「日本の先端物質科学の研究と技術に対する招へい者の関心を高める」は達成できたようです。今後の課題は交流の継続です。継続によって目的の達成をより確かにできますし、日中両国の協力関係も強まります。長期的視野に立ったプログラムの存在があるといいと感じています。最後になりましたが、ご支援を頂いたさくらサイエンスプログラムに厚くお礼を申し上げます。