2018年度活動レポート(一般公募コース)第324号
中国の大学院生が持続可能な社会と環境マネジメントシステムについて学ぶ
地域持続研究所からの報告
(特非)地域持続研究所では、さくらサイエンスプログラムの採択により、2018年12月4日から12月11日までの8日間にかけて、北京交通大学(中華人民共和国)の大学院生8名、教員3名の合計11名を招へいして「持続可能な社会と環境マネジメントについての研修と交流」をテーマとするプログラムを実施しました。
中国では、環境問題の深刻化や人口高齢化が社会の持続可能性を揺るがす問題となっています。本プログラムでは、「持続可能な社会」への道を明らかにすることを目的として、①千葉大学における環境マネジメントシステム(EMS)、②本研究所が進めている「エネルギー永続地帯」創出に向けたモデル、③持続可能な社会に向けた社会政策のあり方について学び、ディスカッションを行いました。
千葉大学は、国立大学法人の中で全国初のISO50001の認証を取得しており、学生を主体とするEMSの取り組みで「地球環境大賞文部科学大臣賞」などの受賞実績が多数あります。本プログラムでは、はじめに本研究所理事長の倉阪からEMSについての講義を受けた後、千葉大学環境ISO学生委員会のメンバーの引率でキャンパス内の環境関連施設を巡るキャンパスツアーを行いました。北京交通大学から参加されたみなさんは、講義を受けた直後ということもあり、高い関心を示していました。さらに、東京ビックサイトで開催中の「エコプロ2018」に参加し、出展中の千葉大学ISO学生委員会のメンバーから展示の説明を受けてディスカッションを行ったほか、環境関連の展示を見学しました。日本人学生にとっても、同世代の優秀な海外の学生と接する機会となり、よい刺激になりました。
エネルギー永続地帯については、セミナーを受講するとともに、街全体でのエネルギー利用最適化を進めている「柏の葉スマートシティ」を見学して理解を深めました。また、社会保障制度や労働政策に関する講義、国際環境政策に関する講義も受講し、「持続可能な社会」に関連するさまざまな社会政策について学びました。中国では理系の大学院生が社会政策を学ぶ機会はあまりないそうですが、近年まで一人っ子政策が続けられていたこともあり、日本の人口問題と介護保険制度についてはとくに活発な質疑が行われました。
帰国前日にはプログラムの締めくくりとして、招へいした大学院生による研究発表会を開催し、千葉大学の研究者や大学院生との間で質疑応答が行われました。本プログラムを通じて、EMSについての理解が深まるとともに、大学院生・学生レベルでの貴重な国際交流がなされたものと思います。