2018年度活動レポート(一般公募コース)第321号
ミャンマーの水産学・海洋科学の発展に向けた同国若手世代との微生物学の共同研究
東京海洋大学からの報告
2018年11月27日から12月7日まで、東南アジアのミャンマーから学生1名(ヤンゴン大学)、教員1名(モーラミャイン大学)および研究者1名(農業・牧畜・灌漑省水産局)の計3名を招へいし、共同研究プログラムを実施しました。このプログラムは2017年から3年間の複数年採択であり、今回が第2回目の実施になります。
本プログラムは、東京海洋大学がこれまでにミャンマーの大学・政府機関と構築した国際交流協定を基盤として、ミャンマーの水産学・海洋科学の若手研究者を対象に、微生物学の観点からその育成に貢献しようとするものです。
参加者は、夜18時ごろに羽田空港に到着し、大学近くのホテルにチェックインしました。翌日の午前中、東京海洋大学品川キャンパスにてオリエンテーションを受けた後、午後から実験を開始しました。寒天培地の作製や無菌操作などを学びながら、微生物の培養を行いました。数日間培養した後、寒天培地上のコロニーから画線を行い、細菌の純粋分離を行いました。さらに、分離した細菌をDNA解析によって同定するため、培養液からDNAを抽出し、抽出したDNA濃度を測定した後、PCRによって16S rRNA遺伝子の増幅を行いました。
続いて、アガロースゲル電気泳動によりPCR産物を確認し、確認されたPCR産物を精製しました。その後、サイクルシーケンス反応などを行い、DNAシーケンサーにて塩基配列を解読しました。
解読した16S rRNA遺伝子の塩基配列データを用いて、データベースから細菌種の同定を行いました。また、微生物を染色して顕微鏡観察を行うなど、微生物学実験における基本操作を学びました。
さらに、招へい期間中には、本学の品川キャンパスにて研究練習船青鷹丸、マリンサイエンスミュージアム(水産資料館)、ならびに海洋生物実験に関する実験設備を見学するとともに、お台場で日本科学未来館の見学も行いました。
本プログラムにより、参加者は微生物学の実験を通して、その知識・手法について理解を深めるとともに、本学の設備や日本科学未来館を見学し、水産学・海洋科学も含めた日本の最先端の科学技術についても関心を寄せることができました。ミャンマーは約2,000 kmにも及ぶ海岸線を有している東南アジア有数の水産・海洋国です。本プログラムは3年間の複数年採択であり、日本とミャンマーとの水産学・海洋科学研究における交流の橋渡しを担う人材を育成し、ミャンマーの水産学・海洋科学の発展に繋がる一助となることを期待しています。
最後に、本プログラムの機会を提供して頂きましたさくらサイエンスプログラムならびに関係者の皆様にお礼を申し上げます。