2018年度 活動レポート 第313号:産業医科大学

2018年度活動レポート(一般公募コース)第313号

産業保健をめぐる日本と台湾の国際交流

産業医科大学からの報告

世界で唯一、働く人の健康を守る産業保健を中核にした産業医科大学では、平成30年12月2日から8日までの7日間、さくらサイエンスプログラムによるご支援のもと、台湾の中国医薬大学公衆衛生学部の学生5名、大学院生5名、引率教員1名の計11名を受け入れました。

表敬訪問の様子

産業医科大学は産業医学の研究と産業保健の実践において、日本でも中心的な役割を果たしています。今回のプログラムでは、中国医薬大学の学生に対して、本学の持つ知見・経験および最新の情報を提供し、日本の産業保健体系についての理解を深めてもらうと同時に、台湾における現状を認識してもらうことを主な目的としました。

この冬一番の寒さとなった12月2日に北九州空港に降り立った一行は、慣れない寒さに驚きながらも、無事に産業医科大学に到着しました。翌日、本学学長の歓迎挨拶からプログラムがスタートしました。一行からは、事前に準備してきたパンフレット等を用いた中国医薬大学や招へい者自身の紹介が行われ、本プログラムに対する期待の高さを伺うことができました。

一行が作成・持参した大学、自己紹介用パンフレット

プログラムは、先方の希望を元に構成しました。講義では、日本の産業保健の歴史、産業医制度や産業保健システムについての概論から職業がんなどの職業病予防対策および職場のメンタルヘルス対策まで幅広く行いました。本学が、国立台湾大学、ブルネイ大学、コンケン大学(タイ)と共同で実施している国際遠隔講義にも参加し、アジア地域の大学とも産業保健をテーマに交流を図りました。

国際遠隔講義

また期間中には文科系サークルの国際保健研究部に所属する学生らも交えた昼食会を行い、学生同士の交流の機会を設けました。話が弾んだ様子で、自由時間には本学の学生が市内を案内する等、楽しい時間を共有した様子でした。

学外視察では、北九州PCB(ポリ塩化ビフェニル)処理事業所や北九州市エコタウンセンター等を訪問し、産業保健と環境保全を合わせて考えていただく機会を提供しました。また、北九州市にある小倉城庭園や門司港地区などを見学し、日本および北九州市の文化の一端に触れていただくこともできました。

北九州PCB処理事業所見学

今回の引率者であるRo-Ting Lin先生より、出発前には数回オリエンテーションが開催され、学生らに対して本プログラムの趣旨、講義の受け方、滞在中の注意事項等が指導された、とのことでした。そのおかげもあり、学生の皆さんは何事にも熱心な姿勢で取り組まれ、全員無事にプログラムを修了することができました。

Lin先生は、過去に本学の教員として在籍されたことがあり、帰国後も、台湾のみならず世界の産業保健領域で活躍されています。さくらサイエンスプログラムへの参加がきっかけとなって、若い世代がLin先生に続いてくれることを期待しながら一行をお見送りしました。

最後になりましたが、さくらサイエンスプログラムのご支援のお陰で充実したプログラムを実施することができ、参加者一人一人が日本への理解を深める有意義な機会になったことと思います。改めまして、さくらサイエンスプログラムに厚く御礼申し上げます。

全員無事にプログラムを修了