2018年度活動レポート(一般公募コース)第289号
高齢社会における口腔衛生活動と最先端予防医療の研修
朝日大学からの報告
平成30年11月18日から25日まで、朝日大学歯学部は「さくらサイエンスプログラム」の支援を受け、中国を代表する歯科教育研究施設である北京大学口腔医学院から学生6名、歯科専門看護師研修生3名及び教員1名の計10名を受け入れ、8日間にわたる研修を実施しました。
4年連続での「さくらサイエンスプログラム」採択となった今回は、「高齢社会における口腔衛生活動と最先端予防医療の研修」をテーマに掲げ、超高齢社会への対応を軸とした日本型歯科医療について、中国の研修生らに日本の最先端科学技術を紹介しました。
研修では、本学での講義受講、病院等施設訪問を実施したほか、包括支援歯科医療部と連携し、高齢者への歯科診療現場(在宅訪問診療)を紹介すると共に、地域保健センターや医療機器企業の訪問等を通じて、わが国の地域ライフステージ別予防歯科医学について学ぶ機会を設けました。
また、在日中国大使館の訪問、日本の歴史的建造物の視察(京都)や学生同士の交流を通じて、日中間の友好を深めました。
以下で、活動の一部をご紹介します。
1.岐阜市北市民保健センターにて3歳児健康診断を視察
本保健センターでは、定期的に健康検査(むし歯、歯並び、かみ合わせ等)が実施されており、視察した研修生一行は、行政が能動的に公衆衛生活動に取り組む仕組みに感銘を受けていました。中国では、幼児期健診が十分に実施されていないのが現状のようです。この時期の健診で生活習慣を見直すことが、生涯の健康基盤の構築に不可欠であると知り、歯の予防指導を徹底する「歯科衛生士」の育成が急務であることを実感した模様でした。
2.包括支援歯科医療部の訪問歯科診療に同行
本学近隣の老人ホームでの在宅訪問診療に同行し、施設利用者への摂食嚥下リハビリや定期的な口腔ケアを施す歯科診療システム、口腔機能の管理に係るシステムを視察しました。往診で使用される機器の準備から片付けに至るまで、現場での歯科医師の仕事ぶりを学びました。
3.「齲蝕ゼロ」を目指す企業の取り組みを視察
東京都内では、口腔保健の普及啓発を100年近く牽引してきた「ライオン歯科衛生研究所」を視察し、長年に渡る公衆衛生活動の概要説明を受け、行政や企業が一体となって「齲蝕ゼロ」を目指している取り組みについて学びました。同社では、多項目唾液検査システム(AL55)の機器の使用体験を行い、齲蝕関連菌の存在を測る体験をしました。
そのほか、東京では在日中国大使館を表敬訪問し、今回の「さくらサイエンスプログラム」の研修意義と、歯科医療分野における両大学の教育的役割について説明し、参事官からも両大学の継続的な交流に期待が寄せられました。
また、科学技術体験として、「日本科学未来館」を視察。最新のAI・ロボット技術を体感し、ロボットと共生する未来に思いを馳せました。
最後に、研修生の感想を紹介します。
感想(抜粋)
- 今回、日本の歯科衛生士教育のあり方について学んだことは、将来の中国での同教育に必ず役立てることができると思います。両国間で交流を継続したい。
- 日本の歯学部の学修プランを詳しく学びました。歯科医師の仕事ぶりを傍で見学し、助手として手伝うことが、学生の勉学に役立つことを実感しました。中国ではこのような実地研修は少ないと思います。帰国後は歯科医師の助手として、積極的に診察手法を学びたい。
この度の研修に際し、多大なるご支援を賜りました「さくらサイエンスプログラム」のご関係者皆様に心より御礼申し上げます。