2018年度 活動レポート 第286号:東海大学

2018年度活動レポート(一般公募コース)第286号

東アジアの大気環境問題に関する日韓共同ワークショップ

東海大学からの報告

2019年1月21日~1月26日の6日間、大韓民国ソウル大学校師範大学付属高等学校の生徒を東海大学湘南キャンパスに招へいし、大気環境の測定を通じた科学技術交流を行いました。参加者は、さくらサイエンスプログラムによる招へい者9名、自己資金による招へい者6名、引率教員3名の計18名でした。

現在、東アジアには微小粒子状物質(PM2.5)による大気汚染などの共通の環境問題があります。本計画では、日本と韓国におけるPM2.5の共同観測、および大気汚染物質の簡易測定技術の修得を通じて、グローバルな視点で環境問題に取り組む姿勢を養うことを意図しました。

以下、活動の様子をお伝えします。

微小粒子状物質(PM2.5)の共同観測

来日前の事前学習として2018年12月中旬から下旬にかけて、ソウル大学校師範大学付属高等学校においてエアーサンプラーを用いてPM2.5試料を捕集し、来日後プログラム2日目に東海大学において電信天秤を用いた重量法によるPM2.5濃度の測定、水溶性イオン成分(陽イオン、陰イオン)の抽出・分析、発がん性を有する多環芳香族炭化水素(PAH)の抽出・分析、さらには後方流跡線解析による気団経路の推定などを行いました。

試料を恒量化してPM2.5の重量を測定します

またプログラム5日目に、同時期に東海大学湘南キャンパスで捕集したPM2.5試料の分析結果と比較して、ソウル市のPM2.5汚染の現状、大気汚染メカニズムに関する考察、将来に向けた対策法の提案等についてグループ討議を行いました。最後に3つに分かれた各グループの代表者が、討議結果をまとめて発表し、東海大学・関根嘉香教授らから質問やコメントを受けました。生徒たちが国境を越えた環境問題に対して具体的な対策を提案する姿がとても印象的でした。

グループ討議の結果を発表しました

箱根で火山ガスのモニタリング

プログラム3日目は株式会社ガステックを訪問し、火山ガス測定用の検知管作りを体験しました。またプログラム4日目、生徒たちは自分たちで作成した検知管を神奈川県箱根町の大涌谷に持参し、火山ガスの濃度を実際に測定しました。火山活動の様子を見学するだけでなく、においの元になっているガスを数値化して知ることができ、空気の可視化技術の有効性を実感できました。

火山ガス測定用検知管を作成しました
大涌谷にて火山ガス濃度を測定しました

総括

最終日、各自に関根教授より修了証が手渡されました。また生徒から日本側スタッフ・協力者に対してお礼の手紙が渡されました。

さくらサイエンスプログラムの修了証を手に記念撮影