2018年度活動レポート(一般公募コース)第282号
インドネシア・ガジャマダ大学の学生が流星バースト通信を学ぶ
静岡大学からの報告
平成30年11月6日よりインドネシアのガジャマダ大学とウダヤナ大学の工学部電気情報系の学生10名を静岡大学浜松キャンパスに招へいしました。平成28年度より静岡大学と両大学は、流星バースト通信ついて共同研究を実施しています。
流星バースト通信とは、流星が地球の大気圏に突入する際に大気との摩擦で発生する電離気体柱(流星バースト)によるVHF帯電波の反射現象を利用した見通し外通信です。この通信方式はその設備の設置や維持が極めて簡単で安価であり、また最大2000km離れた通信局間で大規模なインフラを必要とせずデータ伝送を実現できるという特徴があります。招へいした両大学とのインドネシアでの共同研究は、世界で初めての低緯度地域での流星バースト通信を実施するものです。
今回の招へいでは、流星バースト通信を学生らに詳しく学んでもらうため、流星バースト通信の原理と応用、および、流星バースト通信の要素技術に関する講義を実施しました。また本学で長年実施している本通信方式の実験設備についても紹介しました。流星バースト通信の原理と応用の講義では、一日当たりの流星数がおおよそ1012個で流星バースト通信路が頻繁に発生することや、代表的な利用例である米国農務省のSNOTELによるテレメトリシステムについて紹介しました。SNOTELはインドネシアでの流星バースト通信の実用化の一つのモデルになり得るもので、学生らは講義に熱心に取り組んでいました。
流星バースト通信の要素技術である変調方式や誤り制御方式の説明では、通信工学の授業で学習する内容でもあり、多くの質問が挙がりました。さらに、本学の流星バースト通信実験システムを紹介した際も、これにも学生らは大きな関心を示しました。
今回の招へいでは、本学の浜松キャンパスで行われている情報通信に関す研究、学生活動、および浜松地域における機械産業についても紹介しました。情報通信に関する研究として、自動二輪車のためのITSに関する研究、および水道管検査のためのIoTに関する研究について紹介しました。二輪車の走行情報のデータベース化とその活用は、二輪車の多いインドネシアで有効と考えられ、学生らは興味深く聞いていました。
また、浜松の運送機械産業の代表企業である(株)スズキのスズキ歴史館を訪問しました。スズキ歴史館の担当者より、(株)スズキにおける自動車や二輪車生産の歴史、東南アジアでの事業展開、浜松地域での運送機械産業について説明をしていただきました。インドネシアでは、スズキを始めとする日本製の二輪車・四輪車が極めて普及しており、日本企業のあり方に関する説明に大いに興味を持ったようでした。さらに、学生活動として本キャンパスの学生活動であるSUM(Shizuoka University Motors)を訪問し、学生らから自動車制作の方法や苦労などを聞きました。
招へい学生が作成したレポートには、本プログラムで有意義な時間を過ごしたことが多々書かれておりました。このような機会をいただきましたさくらサイエンスプログラムに感謝いたします。