2018年度 活動レポート 第275号:日本原子力研究開発機構

2018年度活動レポート(一般公募コース)第275号

海外若手研究者・技術者のためのオンサイト研修

日本原子力研究開発機構からの報告

日本原子力研究開発機構 大洗研究所 材料試験炉部では、2018年7月30日から8月8日に、さくらサイエンスプログラムを活用し、アジア地域の6ヶ国(カザフスタン、マレーシア、インドネシア、ベトナム、タイ、モンゴル)から計11名の若手研究者・技術者を招へいし、JMTR及びその関連施設を活用した実践型の実務研修を実施しました。

材料試験炉部では、将来における国際的な原子力人材を育成するため、国内の若手研究者・技術者を対象とする研修を2010年度に開始しました。また、アジア諸国をはじめとした海外の原子力人材育成及びJMTRの照射利用拡大を目的として、海外の若手研究者・技術者を対象とする研修を2011 年度に開始しました。その後、2014 年度から2016年度にかけては、これらの2つの研修を統合して実施しました。2017年度と2018年度は、さくらサイエンスプログラムを活用し、アジア地域の若手研究者・技術者を対象とする研修を実施してきました。

本研修のプログラムは、参加者の理解がより深まるよう、まず概要説明や基礎的な内容の講義を行い、その後、実習や関連施設の見学を行うよう構成しています。講義では、発電炉の設計や安全性評価の基となる原子炉用燃料及び材料の照射試験を主要テーマとして、原子力エネルギー、照射試験、原子炉の核特性、原子炉施設の安全管理等に関する講義を行いました。次に、原子炉シミュレータを用いた運転等の実習を行い、最後に、実際の施設の見学を行いました。各講義・実習の内容と施設見学先は以下のとおりです。

講義

  • 日本原子力研究開発機構の紹介
  • 世界の研究用原子炉、発電用原子炉
  • 炉物理の基礎
  • 原子炉用燃料及び材料の中性子照射挙動
  • JMTRの安全管理
  • JMTRの照射設備と照射試験技術
  • JMTRホットラボの照射後試験技術
  • 高温ガス炉の開発と核熱利用研究
炉物理の基礎についての講義

実習

  • 照射設備の熱設計実習
  • 核計算実習
  • 個人線量測定実習
  • 環境試料のガンマ線核種分析実習
  • 原子炉シミュレータ運転実習
核計算実習の様子
シミュレータ実習の様子

施設見学

  • 材料試験炉(JMTR)
  • 高温工学試験研究炉(HTTR)
  • 大洗研究所環境監視施設
  • 大洗研究所放射線管理施設
  • 東北大学金属材料研究所附属量子エネルギー材料科学国際研究センター
JMTR見学の様子

研修期間中には、参加者同士で活発な情報交換が行われ、また、参加者と機構職員による懇親会を開催し、交流を深めることができました。

本研修を機に、人材の往来が活発化し、今後の人材交流や共同研究に繋がることを期待しています。

修了証を手に記念撮影