2018年度 活動レポート 第262号:東京大学

2018年度活動レポート(一般公募コース)

アジア7か国からの若手の教育・研修
「生物資源環境学入門コース―アジアのフィールドの多様性と研究」 3年目

東京大学からの報告

人口増加と経済成長を続けるアジアでは環境破壊のリスクが恒常的に高く、森林、農地、沿岸域など環境の多様性を踏まえて、環境修復技術、環境調和型の生物生産技術を構築することが必要とされています。このような問題に関心を持つアジアの優秀な青年に対して、生物資源環境学の最先端を紹介し、持続可能なアジアの発展に対する理解を深め、専門的研究への動機付けを与え、さらに参加者間での交流のきっかけも作るという趣旨で、2018年9月9日から18日に、さくらサイエンスプログラム科学技術体験コースAとして、東京大学アジア生物資源環境研究センター(ANESC)が中心となってプログラムを行いました。

アジアの6か国の9機関(タミルナードゥ農業大学(インド)、カンボジア農業開発研究所(カンボジア)、チュラロンコン大学(タイ)、南京農業大学(中国)、福建農林大学(中国)、フィリピン稲研究所(フィリピン)、ミンダナオ州立大学(フィリピン)、マラヤ大学(マレーシア)、マレーシアサバ大学(マレーシア))から10名の若手教員・研究員・大学院生・学生(男性6名、女性4名)が参加しました。

プログラムでは、まず、ANESCの研究室を見学し4つの研究プログラム(環境修復プログラム、地球規模環境問題対策プログラム、持続的地域資源利用プログラム、有用遺伝資源開発プログラム)の説明を聞きました。

写真1
環境制御温室でのアジアの樹木の湛水耐性機構の説明を聞く

生態調和農学機構では、エネルギー節約型の温室でのレタス水耕栽培、有機栽培水田と生物相、教育研究用大型農業機械の見学を行いました。田無演習林では、日本の森林資源の変化と特徴、演習林の役割について講義を受け、様々な樹木や苗圃の見学を行いました。

写真2
試験用田植え機の説明を聞く

富士癒しの森研究所では、富士山麓森林生態系の景観性などの多面的機能について説明を聞きながら、薪割の体験もしました。また、富士山火山荒原植生遷移試験地での植生の回復と菌根の生態を視察しました。

写真3
下草管理による好ましい森の比較をする
写真4
薪割を体験するがなかなか割れない

大学院の演習にも参加して、持続可能な農林水畜産業の様々な側面について、また大学附属施設の役割について、博士課程の留学生や日本人TAらとともにディスカッションをしながら、自分の学業・研究を紹介して、交流を深めました。

写真5
東大の大学院生やTAと模擬演習でのグループディスカッション
「持続可能な農林水畜産業」

また、東京大学における国際交流の状況の説明、農学生命科学研究科への留学のための方法について、国際交流室よりガイダンスを受けました。将来の留学や研究での再来学への動機も高められ、寝食を共にした濃密なプログラムを通じて参加者の間での交流も深められました。ANESCメンバーと参加者、また参加者間の交流がFacebookページ等を通じて今後も継続されることを期待しています。