2018年度 活動レポート 第259号:電気通信大学

2018年度活動レポート(一般公募コース)第259号

低炭素・低エネルギー社会を目指した先端科学技術研修

電気通信大学国際戦略室
客員教授 高橋 謙三さんからの報告

さくらサイエンスプログラム「A科学技術体験コース」に採択された本学の複数年度交流計画「低エネルギー・低炭素社会を目指した先端科学技術の研修」について、3年度目のプログラムを、平成30年11月21日から27日までの7日間にわたって実施し、当初の目標を達成しました。

派遣元大学は、昨年度と同様タイのモンクット王工科大学ラカバン校(KMITL)、ベトナムの国家大学科学技術大学(VNU-UET)、マレーシアのマルチメディア大学(MMU)および国立サラワク大学(UNIMAS)、カンボジアの王立プノンペン大学(RUPP)、インドネシアのバンドン工科大学(ITB)、インドの国立科学技術大学(NIST)の、(ASEAN+インド)6カ国7大学です。

過去2年間に確定した本学と派遣元大学の間の組織的連携により、学業成績が優秀で我が国での先端科学技術に関心ある学生合計10名を各大学の一次審査、本学主体の書類選考とSkype国際インタビューにより選抜、招へいしました。

研修内容は各年度の成果・反省、招へい学生の感想に基づき見直し、上記計画の解決に応用が期待できるIoTやAI等最新の科学技術も補強しました。また、昨年度までに有効性を確認したスマホのMessenger機能を用い相互連絡体制を渡航前から確立し、出発から帰国までの期間中の健康管理や危機管理に万全を期し、無事計画を遂行できました。帰国後もMessenger等を用いて留学希望等の相談に応じています。以下実施結果です。

1日目

各国から同時間帯に成田到着、宿舎でオリエンテーション。途中浅草で日本の文化を体験。

2日目

学長表敬、国費留学および本学の協定校を対象としたJUSST(短プロ)の紹介、課題に関連する研究室見学と講義受講(芳原研、石橋研、市川研、沈青研)、日本語学習。

3日目

研究室見学と受講(松浦研、横井・姜・東郷研、岩澤研、野崎・内田研)、日本語学習。

写真1
松浦准教授による、量子ドット構造半導体型光増幅素子による超高速光デジタル信号処理、光制御型無線アレーアンテナ、省電力化用光キャリア再生、防災に役立つアンテナ基地局無給電光ファイバ無線システムROF等の研究紹介の後、光ファイバ無線でプラスチック光ファイバのコネクタ間軸ズレに起因するモード雑音等の改善策の実演に関心を高める招へい学生
写真2
野崎教授から、MOVPE(有機金属気相成長)法によるIII-V族半導体材料の結晶成長、物性の異なる半導体材料のヘテロ接合、太陽光を使う光アンテナ用超高速ダイオード、次世代移動体通信用高速パワー素子、ITO大面積電極によるLED等の研究状況を聴講した後、実験室に入り、研究室スタッフからIII-V族半導体材料のエピタキシャル成長の実施例の説明を受け、
実際を体験する招へい学生

4日目

播磨科学公園都市にある大型放射光施設SPring-8および同施設内の本学の先端触媒構造反応リアルタイム計測ビームラインBL36XUにて、次世代燃料電池触媒の研究開発を研修。

写真3
本学の実験施設BL36XUにて地球温暖化対策の決め手となる次世代燃料電池触媒の性能を高精度で評価し、改良を図る研究活動を研修、研究担当者からアンジュレータや時間空間分解XAFSによる分子レベル反応機構解明の説明に聞き入る招へい学生

5日目

全招へい学生が共通文化を体得できる京都三十三間堂を早朝見学、引き続きけいはんな学研都市の国際電気通信基礎技術研究所(ATR)を訪問、オープンハウス2018の機会に見学。

写真4
けいはんな学研都市の中心にある国際電気通信基礎技術研究所(ATR)を、オープンハウス2018開催初日に訪問。
主題は本プランと共通の「社会問題への挑戦」。招へい学生はAIに向けた長期的視野のコミュニケーション科学や応用等の実際を見学し、自然な日常対話を行うライフサポートのアンドロイドに高い関心を示しました

6日目

小金井市にある国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)を訪問し、攻撃トラフィックの観測・分析システムNICTER、音声会話の自動翻訳システムVoiceTra等を体験。引き続き台場の日本科学未来館を訪問。会話に応じて顔表現を変えるアンドロイドや二足歩行のアシモの実演を見学。本学へ帰還し、研修のまとめ、修了証書授与、理事表敬・帰国の挨拶

写真5
研修を終え、中野理事へ帰国の挨拶。招へい学生は今後の研究活動や本学への留学を奨励され、翌朝最終会合の後、一斉に帰国の途に着き、派遣国到着空港から順次無事到着をMessengerによりリアルタイムで報告してきました。

7日目

最終総括、招へい学生から我が国の科学技術の高さを理解できたとの報告あり、無事帰国。