2018年度活動レポート(一般公募コース)第242号
韓国の学生が無線伝送技術と人工知能に関する最先端科学技術を体験
千葉大学 安 昌俊さんからの報告
平成30年11月4日13時頃、韓国ソウル科学技術大学の10名の学生が成田に到着し、本プログラムの活動が本格的に始まりました。空港へのお迎えは千葉大学の大学院生1名と学部4年生の学生1名により行い、初めて訪問した韓国の学生を千葉のホテルに案内しました。
2日目は、9時30分頃に千葉大学に到着後、無線通信研究室を案内し、本プログラムに参加した学生を対象にオリエンテーションを行いました。オリエンテーションの主な内容は、日本の生活習慣、カルチャー、簡単な日本語、及び、病気・怪我やトラブルの際の対処方法についての説明です。
特に、参加学生が興味を示したことは簡単な日本語の授業でした。参加学生は日本には強く興味を持っていたものの、入試のために英語中心の勉強をしてきたため、日本語を学ぶ機会が無かったようです。今後の交流には、日本語にふれていない学生を中心に、科学技術のみならず、日本語や日本文化の紹介も大切であると感じました。
オリエンテーション終了後、午後には専門分野の講義と簡単な実験を行いました。中でも無線信号を用いて電力を送信し、受信側ではその受信信号から発電するエネルギー伝送技術について様々な質問があがりました。午後17時頃には、無線通信研究室の学生との交流会を行い、国籍が異なっても互いに理解できることを感じる時間となりました。
3日目の広島への移動の際には、東京駅にて新幹線に強い興味を示していました。韓国でも新幹線と似た様な高速鉄道が整備されてはいますが、日本の新幹線の配車間隔を構内アナウンスで耳にし、30分から5分の間隔で運行されていることに驚いたようです。
広島市立大学は市内から40分ほど離れており、気温が市内では20度位のところ、大学がある地区は15度と寒く、紅葉も進みきれいな景色を楽しんでもらうことが出来ました。広島市立大学は開校後30年ほどですが、情報理論でも有名な笠見先生をはじめとする世界的にも有名な先生が在籍しており、今回の藤坂先生と神尾先生の講義には学生の期待も大きいようでした。
広島市立大学に到着後、藤坂先生の講義と研究室の見学を終えた学生の話を聞くと、韓国の大学と大差ない気がするのに、なぜ日本の大学は世界的な研究結果を出すことができるのか?との質問があり、『日本の先生は、自分の研究テーマについて、長い時間をかけてじっくり取り込むことが可能な環境の中で優れた結果を出すことができる』と回答しました。日本には『継続は力なり』との言葉もあることを説明し、将来、高いモチベーションをもち、研究者として活躍して下さいと学生にエールを送りました。
4日目は神尾先生の講演を聞き、大学の関連施設を見学しました。
5日目は千葉に戻り、丸田先生による電気電子の実験に参加しました。
6日目は、NTT研究所の見学に行き、日本の優れた通信技術を見ることができました。見学中の学生達は、最先端技術よりも、昔の手動式の電話や交換機に興味を示しました。研究所の見学を終え千葉大学に戻り、本プログラムの修了式を行った後、参加した学生と簡単な面談を行いました。多くの学生から、来日する前は日本への留学に対し多少の不安感を抱いていたようでしたが、実際に本プログラムに参加したことにより、肯定的に考えるようになったとの意見をいただきました。また、多くの学生から、機会があれば日本を再訪問したいとの意見があり、本プログラムの当初の目的を達成することができました。
最後に、この交流プログラムを実現できるよう支援して頂いた「さくらサイエンスプログラム」に感謝申し上げます。