2018年度活動レポート(一般公募コース)第236号
アジアの若者が北海道で育む科学技術の未来
札幌開成中等教育学校からの報告
今年度から規定が変更され、複数の機関から招へいする場合15名が限度となりました。そこで、タイのPrincess Chulabhorn Science High School Phitsanulokから生徒5名・教員2名(うち1名は自己負担)、ベトナムのTrần Đại Nghĩa High School For The Giftedから生徒5名・教員1名、中国の海南省海南中学から生徒6名(うち4名は自己負担)・教員1名、台湾の国立台湾師範大学付属高級中学から生徒2名、教員1名を招へいすることとしました。
2018年8月1日~10日の10日間、5ヶ国の高校生が北海道の自然とそれに関わるサイエンスの学習や、世界最先端レベルの研究機関への訪問、ワークショップ等を通じ、将来日本社会に貢献するアジアの優秀な人材と世界で活躍する日本人科学者を育む機会を設けました。また、昨年に引き続き、SSH校である茨城県清真学園高等学校の生徒とも合流し、首都圏の高校生との交流も可能としました。昨年度は夏休み中に実施し、バディ生徒と参加希望者を募ったことにより親密な交流を行うことができましたが、2日目の夕方からの合流でした。そこで、今年度は初日の空港の出迎えから本校生徒が参加できるように変更を加えました。また、昨年度に引き続き、日本のスーパーサイエンスハイスクールの生徒が一堂に会し課題研究の発表を行うSSH全国課題研究発表会見学の機会も設けました。
2日目の有珠研修は、本校がSSH指定以前から学校設定科目「地学野外観察」で行っているコース・内容を両国の生徒向けにアレンジしたものです。火山や地震のない両国の生徒が初めて目にする火山であり、その活動によって起こる地殻変動にも大変驚いていました。また、午後の札幌市民防災センターでは模擬地震体験ができました。午前中に学んだ地震について実際に体験することができ、理解が深まっていました。
3日目は、タイ、ベトナム、中国、台湾、茨城県清真学園高等学校、本校生徒(バディ生徒・希望者)を3つのグループに分け、午前施設見学、午後本校に戻り発表を行いました。短い時間ではありましたが、PCや手書きの図などを上手に用いてわかりやすく発表を行いました。
4日目は、昨年に引き続き「ゆっくり正確に着地するパラシュート大会」を行いました。各チームとも事前準備をしっかりと行ってきたため、6チームが接戦になり大いに盛り上がりました。
6日目午前は、2013年 「世界で注目すべき女性研究者25人」にアジアから唯一選出された北海道大学新渡戸カレッジ准教授繁富香織氏(本校卒業生)の世界最先端の研究について学習したのち、北海道大学国際連携機構において昨年度10月より始まったIntegrated Science Programの説明や模擬授業を行いましたた。午後は、研究室訪問という形で、4つの講座から自分の興味のある2つの講座を選び受講しました。
7日目は本校生徒20名と共に、SPring-8およびSACLAを訪問しました。
8日目には毎年好評のワークショップを行いました。ここでは大阪教育大学で教材「Black Box」を使い「科学的モデルの構築と検証方法」について学びました。午後は神戸に移動しSSH全国課題研究発表会を見学しました。
最終日は、京都大学付属博物館見学では各国の言葉に通じる方を手配していただき、生徒たちも非常に満足していました。午後は京都を散策し日本文化に触れた後帰国となりました。
今回のさくらサイエンスプログラムを通して、中等教育学校の1年生から6年次までの全学年とタイ、ベトナム、中国、台湾の非常に優秀な高校生が北海道の自然とそれに関わるサイエンスの学習や、世界最先端レベルの研究機関への訪問、ホームステイ等を通しての文化交流、ワークショップや共同作業を行い多くの経験をするなどを通じ、将来日本社会に貢献するアジアの優秀な人材と世界で活躍する日本人科学者を育むことができました。また、最終日に行ったアンケートで「最も印象に残った内容は」との問いには「本校で行った研修」との回答が多数あったので、次年度はさらに充実した研修となるようにしたいと思います。
最後に、参加した生徒だけでなくこのプランに携わった教員にとっても大変意義のある9日間でしたので、次年度以降も改良を重ね申請を続けていきます。