2018年度活動レポート(一般公募コース)第233号
さくらサイエンスプログラム from Amity大学 in India
帝京大学宇都宮キャンパスからの報告
2018年10月8日(日)に来日し宇都宮で旅装を解いた参加学生達は、次の9日(月)の朝に帝京大学の宇都宮キャンパスに来学しました。午前中のオリエンテーションや施設見学の後で昼食を採り、午後に各研究室を訪れ、受け入れ教員と研究室の学生・院生と挨拶を交わしました。
荒井研究室の活動内容については、
また、Sikka先生と共同研究に関する議論をしました。
バイオサイエンス学科篠村研究室では、「パーティクルガンを用いた形質転換方法の習得および共焦点レーザー顕微鏡を用いた形質転換体の観察」を実施しました。パーティクルガンは、細胞壁のある植物でも遺伝子を物理的に簡便に導入できる装置であり、汎用性の高い形質転換法でした。
今回の実習では、カリフラワーモザイクウイルス35SプロモーターとGFP遺伝子を連結させた配列をもつDNAフラグメントを事前に我々が用意し、これを細胞内が観察しやすいタマネギ表皮細胞にパーティクルガンで導入しました。その後一晩培養したのちに、翌日、共焦点レーザー顕微鏡を用いて形質転換体の観察を行いました。
形質転換体が得られた場合には、青色光で励起するとGFPタンパク質に由来する緑色蛍光を発する細胞を観察できるはずです。実際に、今回の実習で形質転換体を観察することができました。しかし、学生が試行した場合の形質転換効率は、熟練したチューターの場合の約1/10以下と低い結果となりました。学生諸君がタマネギ表皮細胞の扱いに慣れていないことが主な原因でしょう。将来、何度かの試行をする機会に恵まれれば、種熟度が増すことと考えています。
学生諸君は、パーティクルガンも共焦点レーザー顕微鏡も初めて触れる装置であり、また、GFPタンパク質を知識としては知っていたものの実際に観察するのは初めての体験と、印象深く受け止めた様子でした。
そして森研究室に於いて行う研究体験内容を説明し、早速エンジン実験室に行き『バイオ・ディーゼル燃料が排出ガスや燃費およびナノ粒子に及ぼす影響』に関する研究を体験させました。その内容は、エンジンの始動・運転から排出ガスや燃費の計測そしてナノ粒子のサンプルまで多岐に渡って居ます。その夜は、サポーターの森研究室院生1年のルイス君と森の4名で、インド料理店でカレーを食しながらの会話に花が咲きました。
10日(水)は午前中から9日(火)に採取したナノ粒子が付着したグリッドをバイオサイエンス学科の電子顕微鏡で観察した。熟練を有する作業ではあるものの、参加学生達は真剣に取り組み、ナノ粒子の画像を観察する事が出来ました。彼等には得難い体験だった模様。
11日(木)はバスに便乗し三菱ふそうトラック・バス(株)の喜連川研究所を訪問。テストコースのバスでの試乗や開発施設を見学した後、技術者の面々とのQ&Aを行いました。テストコースの第6レーンに於ける140km/hでの高速走行やABS体感、石畳走行などで試乗を楽しみました。巨大な電波暗室やエンジン試験設備見学で興味を持ち、技術者とのQ&Aでは『世界各国向け車両開発の進め方』『電動化の方向性』などの質問が出て盛り上がりました。
その後、世界遺産の日光東照宮に参拝、修復された陽明門や、左甚五郎作三猿に眠り猫を観た後、家康のお墓や本殿に参拝。日本秋と美の両方を堪能して貰いました。
12日(金)は研究体験内容を纏め、午後からその成果発表を行いました。短時間の研究体験での内容を上手く纏めて発表してくれました。発表会後には彼らの送別会が催され、日本人学生やキャンパス滞在中の各国留学生とも出逢い、草の根の国際交流に繋がりました。
13日(土)は早朝に上京、ホテルに荷物を預け、東京北の丸の科学技術館を訪れました。日本が誇る幅広い分野の科学技術が判り易く展示され、参加学生達は興味深く見入っていました。午後には、日本の江戸文化を体験すべく浅草の浅草寺を訪れ、仲見世で家族へのお土産を物色し購入して居ました。次いで電化製品が揃い日本のアニメの殿堂とも言える秋葉原に向かいました。彼らは自分のヘッドホン等も購入しショッピングを満喫しました。夕食は荒井先生の奥様とお嬢様方が探して下さったベジタリアンレストランを訪れ野菜で作った寿司や焼き鳥を美味しく頂き感激でした。
14日(日)の早朝、荒井先生と森は、東京駅の八重洲口でリムジンバスに乗り込む彼らを見送りましたが、鎌田さんとルイス君は成田迄付き添い、彼らの搭乗を見届け全行程を修了しました。
関係者の皆様、本当にご苦労様お疲れ様でした。今回のさくらサイエンスプログラムも、Amity大学から訪れた彼らの心に素晴らしい体験としていつまでも残り、大学院入学などで再度、日本を訪れてくれる事を祈念して、報告を終わります。