2018年度活動レポート(一般公募コース)第230号
超微細組織解析によるMg合金強化機構の解明に関する国際共同研究
九州大学工学研究院 陳 強さんからの報告
九州大学工学研究院附属国際教育支援センターは、平成30年10月9日~10月18日までの10日間、さくらサイエンスプログラムの支援を受けて本学の協定大学である上海交通大学から、大学院生4人と引率教員1名を受け入れました。
本招へいプログラムは、材料科学分野で目覚しい研究成果をあげている世界トップクラス研究機関である上海交通大学軽合金精密成型国家研究センター(National Engineering Research Center of Light Alloy Net Forming)から中堅気鋭研究者と優秀な大学院生を招き、本学の教員による特別講義の聴講、低炭素社会を実現するための水素材料先端科学研究センターやアジアで屈指の超顕微解析研究センター、最先端有機光エレクトロニクス研究センターなど実験施設の見学、日本の歴史や文化に触れるプログラムを通して、我が国の大学生活を体験しつつ、HVEMとFIBを利用した超軽量高強度マグネシウム合金の超微細疲労組織解析に関する国際共同研究を行うことを目的として実施したものです。
一行は10月9日(火)に到着し、事務手続きを行った後、関係者によるレセプションを行いました。
2日目は、オリエンテーション及びキャリアパスツアーを行い、国際教育支援センター教員による九州大学の紹介および日本留学ガイダンスを受けました。
また、3日目以降は、本招へいプログラムに基づいて九州大学教員による特別講義や研究施設の紹介、ラボビジットを通じて新たな国際共同研究への可能性に関する検討、超顕微解析研究センターの最先端電顕設備を用いた共同研究の実施などを行いました。週末は福岡・糸島の文化や歴史、さらに先端技術を学ぶため、雷山の千如寺、櫛田神社、福岡市立科学館を視察しました。
8日目夜は、招へい者や九州大学教職員、大学院生など関係者も参加した懇親会が開催され、相互の理解を深めました。
九州大学工学研究院機械工学部門の戸田教授が「金属材料の破壊を解析するための新しい3D/4D評価技術」に関する特別講義を行いました。招へい者は、時折真剣な質問をするなどとても興味深く聞き入れました。また、戸田教授の特別講義後に行った意見交換において、引率者のPENG教授から国際共同研究を提案され、研究内容や計画について議論を行い、今後も実現に向けて緊密に連絡を取りながら協力していくことで一致しました。
九州大学は2014年に、世界唯一のオメガ型電子分光装置ならびにSDD型X線検出器を装着した広電圧超高感度原子分解能電子顕微鏡(JEM-ARM200CF)が新規導入され、超微細組織解析における最先端整備が充実しています。招へい者は、これらの最先端設備の国際共同研究による利用について高い関心と意欲を見せました。
最終日には研修発表会を行いました。招へい者は今回の研修で学んだことなどを話し合ってテーマを自由に決めてまとめ、英語で発表しました。本プログラムへの参加を通して、九州大学とりわけ工学部が取組んでいる最先端工学科学技術に関する研究・教育の面白さを体験し実感できたことにより、本学への留学意識が一段と高まったことが期待できます。
実際、参加者の中から中国国家留学基金管理委員会「国家建設高水平大学公派研究生項目」による本学の大学院に派遣留学する者も出ました。このような機会を作って頂いたさくらサイエンスプログラムに感謝申し上げます。