2018年度活動レポート(一般公募コース)第229号
北京交通大学の学生が日本の都市交通システムの先進技術と課題を学ぶ
横浜国立大学からの報告
さくらサイエンスプログラムの支援を受け、横浜国立大学国際戦略推進機構は、2018年12月2日から12月10日までの9日間、中華人民共和国の北京交通大学の交通工学分野から、大学生2名、大学院生3名を招へいし、交流を行いました。
北京交通大学は、鉄道工学にかかる研究教育機関を母体とした総合大学で、交通計画および交通工学分野では中国でトップレベルの大学のひとつです。2015年7月に北京交通大学副学長が横浜国立大学に訪問したことから交流がはじまり、横浜国立大学で都市交通計画を専門とする中村文彦教授が北京交通大学で特別講義を行ったほか、横浜国立大学学生が短期留学プログラムで北京交通大学を訪問し、中国新幹線シミュレーターの見学などを行うなど交流を深めてきました。2017年1月には、横浜国立大学と大学間学術交流協定覚書を締結しました。
本交流プログラムは、覚書締結後初めてとなる昨年の交流活動に続き、今年2回目として、北京交通大学の学生に、横浜国立大学での交通分野の教育やフィールドトリップを通して、交通と都市の連携について学んでいただくことを目的に実施しました。
交通分野の教育体験
本交流プログラムでは、横浜国立大学大学院都市イノベーション学府・研究院の交通と都市研究室(Transportation and Urban Engineering Laboratory : TUEL)の教員による交通分野の特別講義を行いました。都市交通計画(中村文彦教授)、交通工学(有吉亮特任教員)、都市街路デザイン(三浦詩乃助教)の3つの講義を英語で受講いただき、講義内容を題材に、北京の交通事情、日本(特に首都圏)の交通事情についての意見交換を行いました。
また、TUEL所属学生による、研究内容の紹介をベースとした学生交流の場を設けました。実践的な取組みを重視する本学交通と都市研究分野のアプローチ方法を直接的に学んでいただき、これまでにない学問の捉え方、都市の捉え方を学ぶ、有意義な機会になったのではないかと思います。
さらに、横浜国立大学のキャンパス内で、TUELが仕掛けた実証実験プロジェクトである、国大西バス停待合空間打ち水効果特殊舗装、踏む力を電力に変換する土木工学棟通用口通路発電床階段、バス車両と歩道のギャップを解消する道路構造令規格外特殊縁石を導入した国大北バス停、スマートフォンによる解錠施錠システムをベースにした学内無料自転車共同利用システム、などの紹介を行いました。
フィールドトリップ
①東急電鉄株式会社鉄道事業本部の元住吉検車区を見学しました。世界トップ水準で安全で正確な通勤鉄道の運行を支える、鉄道車両の定期点検の仕組みを学びました。
②東京首都圏で2番目に大きな公的住宅開発プロジェクトである千葉ニュータウンの開発整備状況を見学しました。計画的な市街地整備の成果を目の当たりにした一方で、高齢化社会、駅前空洞化問題、自然との共生の課題などを学びました。
③「宙と緑の科学館」を訪問し、日本の最先端の科学技術に広く触れました。
日本文化体験
横浜国立大学国際戦略推進機構の長谷川健治教授による日本及び日本文化についての特別講義と、同機構の吉田昌平教授による日本文化体験(居合道)の特別講義及び体験を行いました。また、同機構の于臣准教授の引率により「日本民家園」を見学しました。
今回の交流プログラムを通して、日本での交通分野の実践例や学びに高い関心を持っていただいたものと思います。これを機会に、さまざまなかたちでの北京交通大学と横浜国立大学での交流が活性化していくことが望まれます。
このような機会を頂き、さくらサイエンスプログラムと関係者各位に深く感謝いたします。