2018年度活動レポート(一般公募コース)第227号
中国の大学生が持続可能社会を実現するための先進的科学技術を学ぶ
中部大学からの報告
中部大学では、さくらサイエンスプログラムによる第2回目の研修交流を中国・浙江省の嘉興学院と紹興文理学院より、機械、電子、情報、土木と資源、環境、バイオを専門とする学生15人、引率教員2人の合計17人を受け入れ、8日間の日程で行いました。
1日目〔9月27日(木)〕:中部大学到着 オリエンテーションと歓迎会
オリエンテーションではプログラムの説明や、中部大学や中部地域の概要紹介の後、招へい学生が日本語や英語で自己紹介を行いました。今回も、日本滞在経験がないにもかかわらず日本語が流暢な学生がいて、中部大学関係者を驚かせていました。
その後一行は図書館、民族資料博物館、不言実行館、国際交流プラザ、お茶室などキャンパスを見学しました。また建築学科の学生が設計、デザインした4号館のサロンのようなトイレを見学しました。学生たちからは「キャンパスが清潔で何でも揃っている。」「教職員が礼儀正しく親切。」との感想が口々に聞かれました。
歓迎会ではセミナー担当教員、中国出身の留学生らを囲んで和やかな雰囲気の中、日本で始めての食事を楽しみました。留学生の中には招へい者と同じ大学の卒業生で過去のさくらサイエンスプログラムの参加者も複数人いて、熱心に留学の為の情報交換および交流を行う姿が見られました。
2日目〔9月28日(金)〕:工学部と応用生物学部の概要を知る
午前に工学部、午後は応用生物学部について学びました。工学部のセミナーではまず工学部・工学研究科の概要説明が行われ、続いて工学部の全8学科について、各学科を代表する教職員から説明を受けました。午後の応用生物学部のセミナーでは、応用生物学部・応用生物学研究科の概要説明の後、応用生物学部の全3学科について、各学科を代表する教職員から説明を受けました。その後、食品プラント、植物工場、温室など応用生物学部の特徴的な施設設備の見学を行いました。
3日目〔9月29日(土)〕:工学部、応用生物学部の各学科の研究室を訪問し詳しく学ぶ
専門にあわせて2班に分かれ、それぞれ工学部と応用生物学部の研究室訪問を行いました。工学系の第1班は、機械工学科、ロボット理工学科、電気電子システム工学科、情報工学科、応用化学科の研究室を訪問し、より深く学びました。
分析計測センターでは電子顕微鏡や核磁気共鳴装置などを見学、都市建設工学科の材料構造実験施設、建築環境実験室などを見学しました。ロボット理工学科では、ヒト型ロボットや被災地での活動を見据えて開発中のロボットなどを体験しました。応用化学科では太陽電池を実際につくるミニ実験を体験学習しました。
環境、生物を専門とする第2班の学生は、応用生物学部3学科を代表する応用微生物学、微生物環境浄化、寄生虫・害虫学、魚類学、食品栄養管理学、基礎栄養学の各研究室を訪問しました。
4日目〔9月30日(日)〕:トヨタ産業技術記念館見学
午前はトヨタ産業技術記念館の見学を行いました。自動車のイメージが強いトヨタではありますが、その創立は織機からであったことは印象深かったようです。またトヨタが工場の実際の工程で使用している工作機械の実演を目の当たりにし、精緻で優れた最先端の機器の動きに「すごい。」「感動した。」など、口々に感銘の言葉が聞かれました。
午後はあいにく台風の接近にあい早々にホテルに戻りましたが、これまで台風の経験がない学生たちは、計画的に鉄道が運休になったり、早めに警報が発令されて災害に備える日本の高度な防災意識に興味を惹かれていました。
5日目〔10月1日(月)〕:大型研究センター、施設の見学、三菱重工業MRJミュージアムを見学する
本学を代表する3つの施設設備を見学し説明を受けました。
「超伝導・持続可能エネルギー研究センター」は超伝導直流送電システムの基礎研究から実用実験に至るまでのプロセスの説明を実際に使われている超伝導ケーブルとそれを使った実験設備を目の前に、説明を受けました。
「国際GISセンター(デジタルアース研究センター)」では、GISを活用したグローバルな防災情報の管理について学びました。昨夜体験した台風の渦が北海道沖に到達している様子や、太平洋沖に新たに発生した台風が北上しつつある様子が確認でき、また日本列島の停電情報も確認できる最先端技術に、学生たちは興味深く見入っていました。
「スマートグリッドシステム」の紹介では、中部大学が推進する「エコ・キャンパス」への多方面からの取り組みを学ぶことができました。また太陽光パネルを見学し、温水プールに活用する取り組みに大いに関心を持ったようでした。
午後は、三菱重工業株式会社のMRJ(三菱リージョナルジェット)ミュージアムの見学を行いました。MRJの原寸大のモックアップ(模型)に搭乗し、フライトデッキや客室キャビンシートに座りながら、日本製の精緻な工夫を凝らした機器、システム、内装部品の説明を受けました。実物の主翼や垂直尾翼、エンジン・パイロンを目の当たりにしながら説明を受けた後、実際の組み立て工場や塗装工程の現場を見学しました。
6日目〔10月2日(火)〕東邦ガス知多緑浜工場、中埜酒造 国盛酒の文化館見学
6日目の午前は東邦ガス株式会社の知多緑浜工場を訪問しました。最初に、日本全国にこうした工場施設が200か所ありますが、知多緑浜工場は東邦ガスの中で最新の最も大きいガス貯蔵施設であることの説明を受けました。
その後、工場のオフィスセンター、コントロールセンターを見学しました。コントロールセンターは最先端技術を駆使したハイテク機器により、この巨大な施設が少人数で管理されていることが驚きであったようです。また接岸しつつある入港中の巨大なLNGタンカーの見学に続き、20万Lサイズの巨大なLNGタンク施設を見学しました。3つのタンクを備え、災害時には30Mの高さの海水膜を立てる装置など、最先端の安全装置が、学生たちは印象的だったようです。
午後は中埜酒造株式会社の国盛酒の文化館を訪問しました。日本の伝統的酒蔵の中で酒造りの道具などを見学しながら、その歴史や工程について説明を受けました。また、半田の運河沿いに立ち並ぶ伝統的な古い町並みや、建築物の見学を行い日本の伝統文化を学ぶ時間となりました。
7日目〔10月3日(水)〕:成果発表会 修了式
7日目の午前は工学部の5学科、応用生物学部の3学科による研究を紹介するポスター交流会を行いました。ポスター発表者はいずれも大学院生で、学生同士で活発に交流する様子が見られました。午後は、成果発表会を行いました。特に指示したわけではなく学生たちは自主的に課外時間を利用して、小グループに分かれて事前に準備したパワーポイントを使い、発表を行いました。
中には日本語や英語で発表する学生もいて、熱心な発表が多く、プログラムに真摯に取り組み、積極的に学ぼうとする意欲を伺うことができました。また、全員から研修の感想が聞けたのは大変意義深いことでした。中部大学は基礎研究と応用研究がバランスよく含まれており、実習設備がしっかりと整っていることなど、中国の大学との様々な比較が聞けたのも興味深いことでした。
成果発表会に続いて修了式が行われ、参加者一人ひとりに修了証が手渡されました。午後6時から行われた歓送会では、セミナー担当教員や大学院生なども交え、この1週間の思い出や、留学に関する情報交換など、熱心に語り合う様子が最後まで見られました。
8日目〔10月4日(木)〕:帰国
午前9時、バスでホテルを出発し、セントレア空港に向かいました。短い滞在でしたが、バスの出発直前まで感謝の意を述べられ、留学の希望を伝えに来る学生も数人いて、1週間の受け入れの手ごたえが感じられました。その後、8日間の多忙な活動の疲れも見せず、元気いっぱい手を振る学生たちを乗せて、バスは空港へ向けて出発しました。