2018年度 活動レポート 第220号:国際善隣協会

2018年度活動レポート(一般公募コース)第220号

中国内蒙古の若手研究者が、研究成果の産業化について学ぶ

国際善隣協会からの報告

平成30年10月28日〜11月1日の日程で、中国内蒙古科技庁が組織する自治区内の若手大学教師・研究者17名を招へいし、プログラムを実施しました。日本の最近の科学研究の動向を知り、関係者との交流を図り、特に研究成果の産業化を学ぶことに重点を置きました。

訪問先における活動状況

来日の翌日の29日午前にまず、東小金井にある東京農工大学工学府を訪問し、工学生命工学科新垣先生の講義を受けました。内容は、一例として「細菌の中で磁鉄に反応するものがあり、それは地球の磁石に対しても反応し、当然南半球と北半球で最近の向きも変わる現象が生まれる」というものでした。

その後の施設見学では、屋上の太陽光発電システム、蓄電装置、電柱不要な給電装置等の紹介がありましたた。

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東京農工大実験設備見学

午後には早稲田大学先端生命技術研究センターを訪問し、柴田教授から「人間の体内時計を考慮した健康法から言えば、1日の中で昼食と夕食の間に軽食を採ることによって、体内時計を正常に保ち、健康を維持できる」という内容の講義を受けました。同教授講義の後、施設見学に入り、梅津教授から体外人工心臓の役割、岩田教授の生活支援のロボットについて説明を受けました。

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早大先端生命技術研究所講義(体内時計と健康)
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早大先端生命技術研究所(TWins)にて集合写真

30日は午前有明の水再生センターを訪問。講義室において田中説明員から同センターの概略の他、一番底辺の原水の導入から、濾過を経て再生された浄水の段階までを辿って説明を受けました。

昼食の後は、お台場のJST主催のイノベーションジャパンの会場へ向かいました。同会場では今回の訪日を主催した内蒙古自治区政府科技庁対外科学技術交流センターのブースも出ており、招へい者は喜んでいました。その後の交流会にも参加しました。

31日午前、越中島の清水建設技術研究所を訪問し、高木副所長から丁寧な説明を受けてから、所内を見学しました。日本は地震国であり、災害国であるため、耐震免振設計と施工、そのほか環境に配慮した室内の照明の採り方、屋上庭園、庭の池等等、自然に配慮した研究施設自身が研究成果の実践の場であることは内蒙古からの訪問者に大きな感銘を与えました。

午後には横浜の東京工業大学すずかけ校舎を訪問し、浅輪先生から、建築と環境、とりわけ最近の温暖化現象とヒートランドの関係についての講義を受けた後、新橋の国際善隣協会に向かいました。

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東京工大すずかけ校舎での講義

同協会では会員17名に出迎えられ、矢野会長の歓迎の辞の後、李団長の挨拶、修了証書授与、団員の自己紹介、交流会と続き、7時半まで続き、和やかな一夜を過ごしました。

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国際善隣協会にて修了証書授与

9月1日:午前TEPIAを訪問し、日本の先端科学の展示を見学し、昼食後、その足で羽田空港に向かいました。

今回の受け入れの意義

今回の内蒙古自治区対外科技交流センターが組織した同自治区若手科学技術者訪日する前後に当協会との間に協力協定を結ぶ運びとなり、今回の訪日が丁度協力協定の最初の事業に当たることになりました。先方の要望は研究成果の産業化でしたが、これが短日数の視察で効果を上げるのは困難な話です。従ってこの目的は十分達せられたとは言えません。

しかし、全員が訪日は初めてであり、他の面では初めての大学における講義、視察先における説明にはその知的好奇心を刺激したものは多かったようです。例えば東京農工大学の新垣教授の「磁性のナノ磁石合成機構の解析」、早稲田大先端生命医科学センターの柴田教授の「体内時計と健康」、岩田教授の「人間支援のロボット技術」、清水建設技術研究所の「研究所の各施設にとりいれられた「節約、エコ技術」、東京工業大学浅輪准教授の「建築と環境」について等、特に参加者の関心を引きまし。今回の参加者に医学関係者が多くいたことは事前の予想を超えていましたが、幸いにして医学系の講義、視察が多くあり、想像以上の効果を得たと思われます。