2018年度活動レポート(一般公募コース)第202号
海洋プレート・島弧下部地殻ー上部マントル発達過程研究の国際連携強化を目指したインド、フィリピンからの学生受け入れ
金沢大学からの報告
2018年10月25日から11月3日の日程で、インド、フィリピンから大学院生8名を受け入れ、研修プログラムを実施しました。
ホスト研究室では、海洋プレートから島弧・大陸への形成過程の解明に関する研究を推進しています。インド、フィリピンには、過去の海洋プレートが地表に露出したオフィオライトや、火山岩中に海洋プレート・島弧の深部を構成していた岩石が取り込まれて地表に運ばれている場所があり(捕獲岩と呼ばれる)、貴重な研究対象が広がっています。これまで、インド、フィリピンの研究者らとは、さくらサイエンスプログラムを利用した学生の派遣を継続的に進めており、今回のプログラムの目的は、各国のオフィオライト・捕獲岩の研究成果を比較し、本研究設備で分析・データ共有し、共同研究体制の強化を目指すことでした。
インド、フィリピンから来日した参加者を待ち受けていたのは、ウエルカムランチパーティー。お寿司もあるランチに、まずは食事の話などから、研究室メンバー、分析を手伝ってくれるホストメンバーと交流をスタートさせました。
そして、早速、各参加者の研究してきた内容、今後の研究方針を決めるために、セミナーが開催されました。ここでは、日本、インド、フィリピン学生のプライドが入り混じって、できるだけ良いプレゼンをすることで、質問をする雰囲気ができて、初めて聞く地質、産状について詳しく知り、情報を共有することができました。
個人の研究対象、目的をシェアしたところで、滞在中の研究計画の詳細について話し合いを行いました。その後は、実際にホスト研究室でできることを知るために、ホスト研究室学生による分析試料準備方法や、分析機器の紹介が行われました。
良い分析には良い試料準備が大切です。そのため、ホスト研究室では分析試料の準備は岩石の切断から研磨、粉末試料の作成まで自前で行います。また、参加学生にとっては初めての分析機器も多く、それぞれの場面で本質的な質問が出ました。それに答える研究室学生が苦労していました。これもまた大事な交流の一つでしょう。
これらの分析機器を使って、実際に自分たちの試料の分析を行い、それらの結果についても議論を行いました。各国で採取された同じような試料であっても、化学的特徴は異なることが少なくなく、その理由の解明こそが、海洋や島弧といった環境での地下で起きているプレセスの解明につながるのです。
滞在中に、島弧環境深部の物質が露出した試料が多く展示されている新潟県糸魚川市フォッサマグナミュージアムの見学を行いました。ここでは、島弧深部で形成された岩石の展示だけではなく、その形成プロセスと日本列島形成との関係を俯瞰できます。各国において、共通点と初めて見る地質学的試料、その説明について多くのことを学ぶことができました。
あっという間の滞在ではありましたが、いつの間にか学生同士は仲が良くなっていたことをうれしく思いました。修了書と金沢大学Tシャツをプレゼントにして、一人ずつ学生から学生へ手渡しされました。