2018年度 活動レポート 第199号:名古屋大学

2018年度活動レポート(一般公募コース)第199号

日本とASEANの若手研究者によるASEANの天然資源を活用した環境材料に関する研究交流

名古屋大学未来社会創造機構
准教授 神本 祐樹さんからの報告

さくらサイエンスプログラムの支援を受け、2018年11月7日から11月16日までの10日間、マヒドン大学(タイ王国)、ラオス国立大学(ラオス人民民主共和国)の2か国・2大学から計7名(各機関学生3名・引率教員1名/大学院生4名・大学生2名)を招へいし、天然資源を活用した環境材料に関する研究交流を行いました。

ASEANでは、経済発展に伴って大気汚染や水質悪化などの環境に対する意識が高まっています。自国に豊富に存在する天然資源を活用した環境材料の研究は、各国の需要の高まりと技術発展が見込まれ、持続可能な世界の実現に寄与すると期待されます。本研究交流プログラムは、ASEANの若手研究者が日本の最先端の科学技術に触れ、持続可能な天然資源であるバイオマスや廃棄物を活用した環境材料の合成、ならびにそれらの材料の高機能化を支援する表面処理技術について実践的に学ぶことで、天然資源を活用した環境材料の開発をASEANで推進するための地盤づくりを目的に実施しました。

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名古屋大学キャンパスツアーの様子

講義・実験

電気化学を用いた表面処理や材料創製に関連する講義を受け、基礎的な理解を深めた後、金属表面の酸化還元操作による被膜の作製を試みました。その皮膜の有する耐食性についても評価し、酸化還元反応について実験的に学びました。

写真2
金属表面の酸化還元操作による被膜作製の様子

環境浄化材料として知られるゼオライトに関する講義を受け、籾殻焼却灰を原料として合成を試みました。評価実験によって籾殻焼却灰からのゼオライト合成に成功したことを確認しました。

写真3
環境浄化材料合成の様子

見学

トヨタ産業技術記念館では、世界最大級の企業に成長したトヨタ自動車の自動織機から自動車産業に変遷した歴史を知ることで、ものづくりを起こし、成長させるための原動力や支えた技術について学びました。

あいちシンクロトロン光センターでは、材料評価に有用な測定手法を各ビームラインの特性について実験ホールにて見学しました。

写真4
あいちシンクロトロン光センターの見学

本研究交流プログラムでは、日本への留学に強い関心を持つ学生・若手研究者を中心に招へいしました。今回の来日をきっかけにさらに日本への興味を深め、日本へ留学するための勉学と研究に励んでいるようです。実験を指導した本学学生も、招へい者と帰国後も連絡を取り合っており、本学学生の英語によるコミュニケーション能力の向上と国際感覚の醸成を促進する良い機会になりました。本研究交流プログラムの実施により、ASEANと日本の若手研究者のネットワークが構築され、アジアの将来を担うグローバル人材の育成につなげることができました。

このような貴重な機会をいただけたことに、さくらサイエンスプログラムならびに関係者の皆様に深く感謝いたします。

写真5
帰国時の記念写真