2018年度活動レポート(一般公募コース)第188号
持続可能な農業を支える最先端のバイオシステム工学
神戸大学大学院農学研究科教授
伊藤 博通さんからの報告
さくらサイエンスプログラムの支援により、2018年11月25日から同年12月2日までの8日間で科学技術研修コース「持続可能な農業を支える最先端のバイオシステム工学」を実施しました。本プログラムは2016年から3年間に渡り実施される計画であり、今年は3年目となります。タイ王国のタマサート大学工学部機械工学科、スリランカ民主社会主義共和国のルフナ大学農学部農業工学科およびインドネシア共和国のボゴール農科大学農業工学部の各大学から引率教員1名と学生7名、合計24名が参加しました。
11月26日はオリエンテーションを行いました。河端俊典農学研究科長による神戸大学と農学研究科の紹介と、農学研究科教務学生係事務補佐員の堀 純子さんによる神戸大学への留学について説明がありました。また、本科学技術研修は4グループで構成されており、伊藤博通教授、庄司浩一准教授、井原一高准教授および黒木信一郎助教からそれぞれ植物工場、水田の機械除草、畜産廃水浄化、食品品質評価に関する説明があり、学生21名がそれぞれ研修を希望するグループを決めました。
11月27日から12月1日まで4グループに分かれて科学技術研修が行われました。
植物工場グループでは人工気象機内で薬草である白花蛇舌草を水耕栽培し、光源光質の違いが成長と体内硝酸イオン濃度に与える影響を解析し、画像計測、植物生理および環境応答について学びました。
水田の機械除草グループでは、農薬を使わずに雑草の繁茂を抑える環境保全型農業である最新の機械除草法について,除草機の組み立てから圃場における性能評価まで、受講生自ら試行錯誤をしながら学びました。
畜産廃水浄化グループでは、持続可能な畜産業に必要な環境技術として、家畜の疾病治療や成長促進に使用されている抗生物質の物理化学的な無害化技術について、理論と実験の両面から科学技術研修を行いました。
食品の品質評価グループでは、異なる温度条件に貯蔵したホウレンソウ葉の脂質過酸化物や抗酸化酵素活性、DPPHラジカル消去能を計測し、鮮度保持効果の定量的な評価法についての科学技術研修を行いました。
11月29日は大阪府立大学植物工場研究センターを見学し、植物工場に関する技術開発の実際を知ることができました。
12月1日は各グループがそれぞれ研修成果について発表を行いました。3年目ということもあり神戸大学の学生は海外の学生達とのコミュニケーション能力が向上しており、効果的な実験補助が実現しました。その結果、研究期間が短期間であったにもかかわらず各グループ共に目的、方法、結果および考察の各項目について的確にまとめられており、高水準の発表でした。各グループ共に3カ国混成のメンバーでしたが、英語でのコミュニケーションは良好であり協力し合って結果報告が行われていました。発表の後で各グループの指導教員による評価および、伊藤による総合評価が発表されました。最後に修了証を各学生に授与してプログラムを終えました。