2018年度活動レポート(一般公募コース)第157号
モンゴル国立大学学生の学生が日本における環境対策と資源循環を学ぶ
早稲田大学理工学術院
教授 所千晴さんからの報告
さくらサイエンスプログラムで招へいされたモンゴル国立大学の教員1名、大学院生6名、学部生4名(計11名)が、2018年11月11日から11月18日の8日間にわたり早稲田大学創造理工学部環境資源工学科所千晴研究室に滞在しました。
本プログラムでは、日本が経験した鉱害から現在の厳密な環境対策、廃棄物処理や金属リサイクルなどの資源循環推進に至る歴史と技術を学ぶことによって、両国のこれからの資源循環のあるべき姿を共に議論することを目的としました。
初日は歓迎会を催して親睦を深めました。2日目はモンゴル国立大学Enkhdul Tuuguu准教授研究室と早稲田大学所千晴研究室双方の研究テーマ紹介や、代表学生の研究紹介を行いました。双方とも環境分野に取り組む研究室同士であることもあり、学生達は初対面ながら研究内容について活発な質疑を行いました。さらに、早大スタッフによるキャンパスツアーを実施し、様々な分析機器や実験装置から大隈講堂に至るまで、早稲田大学における学生生活を紹介しました。
3日目の午前は当研究室で行っている選鉱やリサイクルを目的とした破砕・粉砕実験を体験しました。また、それらをさらにリサイクルや資源開発に応用している種々の研究を紹介しました。研究室に所属している各国からの留学生も研究紹介を行い、日本での留学生活のイメージがつかめるように工夫しました。
4日目の午前は科学技術館を訪問しました。また、午後は凸版印刷ミュージアムを訪問し、文化財や歴史的建造物の収録から始まったVRコンテンツ事業が、国内の主要鉱山内部の構造把握や安全教育に展開されている様子を紹介しました。
5日目はJX金属日立事業所を訪問しました。日鉱記念館では日立鉱山の歴史について学び、事業所内見学では廃棄リチウムイオン電池等からの有価金属回収工程など最新の分析機器や技術に触れることができ、モンゴル学生は大変興味を持っていました。
6日目は旭鉱末新滝根鉱山を訪問しました。日本有数の鍾乳洞であるあぶくま洞や、実際に採掘を行っている新滝根鉱山を見学し、モンゴル学生は興味津々の様子で質問していました。
7日目の午前中は環境浄化に関する研究の紹介と、吸着材開発に関する実験体験を行いました。最後に、プログラムのまとめとして修了証を授与し、全体の総括を行いました。その後の送別会では、また日本に来たいといった声が多数聞かれ、日本での環境対策や資源循環への取り組みに対して刺激を受けたようでした。また、日本人学生もモンゴルにおける環境対策の必要性を改めて認識することができました。本プログラムを通して、当分野におけるモンゴルと日本との交流が深まり、さらなる留学や共同研究へと発展することを期待しています。