2018年度 活動レポート 第155号:名古屋大学

2018年度活動レポート(一般公募コース)第155号

プラズマを用いた光触媒合成技術に関する研究交流を通して国際連携を促進

名古屋大学未来社会創造機構からの報告

さくらサイエンスプログラムの支援を受け、2018年9月11日から10月1日までの21日間、タイ王国のチュラロンコン大学(以下、CU)およびベトナム社会主義共和国のハノイ工科大学(以下、HUST)から各1名の大学院生を招へいし、プラズマサイエンスを用いた先端触媒材料合成に関する研究交流を行いました。

CUおよびHUSTは名古屋大学と学術交流協定を結ぶ等、積極的に交流を行ってきました。本交流プログラムは、三大学間における学術交流活動の更なる活性化および国際共同研究への発展に繋げることを目的に実施しました。

最先端のプラズマによる材料合成技術を学ぶ

本交流プログラムは、本学の強みの一つである、プラズマを用いた材料合成技術を主軸として実施しました。光触媒の合成は、タイ及びベトナムにおいて喫緊の課題となっている、環境浄化等の分野で重要な技術です。本学が所有する特殊な合成装置や最先端の分析機器を実際に使用し、当該分野の知見を有する教員や若手研究者と議論を重ねながら実験を行うことで、新しい研究へのアプローチや考え方を学びました。

写真1
プラズマ実験に取り組む様子
写真2
研究ミーティングの様子

日本がリードする先端技術を学ぶ

日本の先端技術である光触媒を学ぶため、東京理科大学の光触媒国際研究センターを訪問しました。特に同分野の専門家から説明を受ける機会を得たことは、学生にとって貴重な体験となりました。日本科学未来館では、日本の科学技術を学ぶだけでなく、分野横断型研究について考える機会となりました。更に、あいちシンクロトロン光センターの訪問では、最先端技術であるシンクロトロン光を利用した多種多様な材料評価技術を学びました。技術面だけではなく、産学官連携のありかたについても学ぶ機会となったと思います。

写真3
光触媒国際研究センター見学の様子

日本の産業を学ぶ

世界最大級の企業に成長したトヨタ自動車㈱の、自動織機から自動車産業への変遷の歴史と、日本を代表するテクノプレナーである豊田佐吉と豊田喜一郎の功績について学ぶため、トヨタ産業技術記念館を訪問しました。実際に製造装置がみれる施設は世界的にみても珍しく、各々の設備に興味関心をもちながら学習できました。

写真4
トヨタ産業技術記念館見学の様子

国際会議BMMP2018への参加

今回の来日で得られた研究成果を発表するため、名古屋大学で行われた国際会議(BMMP2018)に参加しました。招へい者は日本での体験と研究成果を堂々と発表しておりました。自身の研究を発信するのみならず、先駆的な研究成果に触れられ、更に多様な国の研究者との交流も行うことができる良い機会となりました。また、自国の発展に貢献する新たな知見や着想の端緒が得られたのではないかと思います。

写真5
BMMP2018で発表している様子

本交流プログラムでは、大学間における学術交流を研究交流へと発展させることを目的として、学生を招へいしました。滞在中に体験したことを、実際の研究活動の中に落とし込み、更に研究を深化させる工程は、学生にとって刺激になったと思われます。更に、日本の高度機器を利用した研究は、共同研究および日本での研究への意欲も高められました。本交流プログラムの実施は、日本と両国の研究活動の活性化に貢献することが期待できる結果となりました。

このような貴重な機会をいただけたことに、さくらサイエンスプログラムならびに関係者の皆様に深く感謝いたします。