2018年度 活動レポート 第138号:山梨大学

2018年度活動レポート(一般公募コース)第138号

マレーシア・ペルリス大学の大学院生との技術交流および国際共同研究プログラムの実施

山梨大学大学院総合研究部からの報告

2018年7月22日から8月11日までの3週間にわたり、マレーシア・ペルリス大学の大学院生(博士課程)10名と教員1名を招へいし、IoT(モノのインターネット、Internet-of-Things)デバイス(画像・音・光・大気など)から得たセンシングビッグデータを、深層学習や画像処理等の人工知能関連技術を用いて分析・可視化する技術に関して、山梨大学の学生や教員らとの技術交流および国際共同研究を実施しました。

本交流プログラムでは、まず最初に、お互いの大学の強みである、深層学習および画像処理、拡張現実感(Augmented Reality、AR)、センサーデバイス、IoTに関しての技術交流として、セミナーを実施しました。深層学習のセミナーでは、山梨大学の西崎博光准教授が講師をつとめ、深層学習に初歩から応用技術にいたるまでを、2日間に渡って講義と実習形式で行いました。実習では山梨大学の大学院生がティーチングアシスタントとして、ペルリス大学の学生の指導をアシスタントしました。

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深層学習講習会(実習)の様子。日本の大学院生も指導をアシスト

また、山梨大学の豊浦正広准教授による拡張現実感のセミナー、同大の茅暁陽教授による画像処理のセミナーも実施しました。ペルリス大学の学生らは、これらの内容について大変興味深く聴講し、講師らと熱心にディスカッションを行いました。

一方で、ペルリス大学のDr.Latifah Munirah氏によるセンサーやIoTのセミナーを実施しました。ペルリス大学はセンサーやIoT技術に長けており、マレーシア国内の自動車、森林、水槽などいろいろなところに設置できるセンサーを開発して運用している経験を踏まえて、セミナーを実施しました。センサーセミナーの実習では、ペルリス大学の学生が実際のセンシングデバイスと無線装置を使って、山梨大学の大学院生や教員に対して熱心に指導してくださりました。

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IoT・セミナーの実習の様子。山梨大学の大学院生・教員らに解説中の様子

2週目は、まず、ペルリス大学の教員・学生らと、山梨大学の教員らとで、共同研究テーマについてのディスカッションを行い、滞在中に実施する研究内容を相談しました。センシングデータを扱う深層学習に関しては、山梨大学の西崎研究室で、画像処理を扱う研究テーマは、茅・豊浦研究室で実施することになりました。約2週間、この研究テーマに取り組みました。

最終日には、2週間弱の研究成果の成果報告会実施しました。研究期間は約2週間しかなく短かったにもかかわらず、論文発表ができるくらい大きな成果を出した学生、これからの学位論文の研究に役立つ成果を出した学生など、ほとんど学生が日本で学んだ知識を活かして研究を行えており、今回実施したプログラムは成功したと言えます。

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成果報告会で熱心に討論している様子

期間中は、山梨大学の施設(IoTを取り入れた農場など)の見学や、ペルリス大学で実施している研究内容と深い係わりのある、ガスセンサーロボットを開発している東京農工大学・石田研究室を訪問しました。また、日本の文化や最先端技術を体験するために、富士山とその周辺エリアへのエクスカーションと山梨県立リニア見学センターを訪問しました。

最終日の前日には、さくらサイエンスプログラム修了証書の授与式を行いました。その後、日本最後の夜は、送別会として、お寿司とお好み焼きでペルリス大の皆様をもてなしました。

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修了証授与式

今回のプログラムでは3週間の滞在でしたが、あっという間に過ぎ去った3週間であっただろうと思います。日本で学んだ最先端の技術を、マレーシアでの研究に大いに活かしていただけることを確信しました。今後も共同研究を続けていくために、茅教授と西崎准教授は招へいした学生の副指導教員として、引き続き研究指導を行うことになりました。これがきっかけとなり、日本・マレーシアの研究・技術交流がますます発展していくものと考えております。

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成果報告会後の集合写真