2018年度活動レポート(一般公募コース)第136号 (Aコース)
マレーシアの学生がリモートセンシングと人工知能による先端情報処理技術を学ぶ
山口大学創成科学研究科
教授 山口 真悟さんからの報告
2018年度のさくらサイエンスプログラムの一つとして、10月4日~13日の10日間、マレーシア・プトラ大学(UPM)の学生6名を山口大学に招へいしました。
山口大学には応用衛星リモートセンシング研究センターや工学部知能情報工学科があります。また山口県には山口大学の電波望遠鏡もあるKDDI山口衛星通信所、JAXA西日本衛星防災利用研究センターもあります。これらのリソースを活用することによってリモートセンシングと人工知能を組み合わせた情報処理技術の学習や最新の宇宙利用技術の見学を通じて、我が国が有する先端技術への理解を深めるとともに関心を促すようなプログラムを目指しました。
また、プログラムの一部に電気電子分野で最も権威のある学会IEEE主催の国際会議における論文発表や聴講、並びに大阪市立科学館の見学も含め、参加者自身が科学技術の未来や将来の自身の在り方について考えることができるように工夫しました。
1日目にはオリエンテーションの後、JAXA西日本衛星防災利用研究センターを見学し、JAXA職員からセンターの施設や設備について説明を受けました。陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS−2)の大型模型や観測データの利用を示すパネルは、これから衛星画像処理を学ぶ学生の意欲を高めました。
2日目は山口大学学長、応用衛星リモートセンシング研究センター長、工学部長を表敬訪問した後、KDDI山口衛星通信所を見学しました。パラボラアンテナの巨大さと種類の多さに圧倒されたと同時に、それぞれが持つ意味・意義を学習したことと思われます。
3日目は山口大学応用衛星リモートセンシング研究センター佐村俊和准教授からリモートセンシング技術の講義を受けた後、大学院生のポスター発表を通じて、学生間の研究交流を行いました。
4~5日目は衛星画像を畳み込みニューラルネットワークを使って森林や草原など6種類に分類する実習を行いました。自ら考え試行錯誤しながら、熱心に実習に取り組んでいました。
6~8日目には奈良で開催された国際会議IEEE GCCE 2018に出席し、2名の学生が厳しい審査の上、採択された論文を発表しました。第一級の研究者や技術者と意見交換することにより、参加者自身が将来の研究開発について自己啓発するような体験になったと思われます。
9日目には大阪市立科学館を見学しました。あいにく改装中のため、プラネタリウムしか見学できませんでしたが、全体を振り返り、科学技術の未来や将来の自身の在り方について、ゆっくり考える時間ができたと考えています。
参加学生の報告書を見る限り好評だったと思われます。複数名の参加学生が山口大学への留学を希望し、また山口大学のTA学生がUPMでの短期留学を希望するようになりました。これらのことから、本事業が学生に与えた影響は極めて大きいといえます。